中国大使がベルギー議会委員会を脅迫、香港関連法案の審議を巡り

2021/10/04
更新: 2021/10/04

ベルギー議会の外交委員会は9月29日、中国当局による香港民主化運動の弾圧に関する決議案草案について審議した。駐ベルギーの曹忠明・中国大使は、27日に議会に書簡を送り、同決議案の審議は「両国の関係に影響を及ぼす」と脅迫し、審議や採択の中止を強要したことがわかった。

ベルギーメディア「ビジネスAM NL」によると、曹大使は自ら手紙を書き、野党・緑の党の党首であるウーター・デ・フリーント(Wouter De Vriendt)氏や、中国当局に批判的な他の議員を攻撃した。曹氏はデ・フリーント氏が「中国の政策を歪め、香港のイメージを傷つけた」と非難した。

国際人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ(Safeguard Defenders)」のディレクター、ローラ・ハース(Laura Harth)氏はツイッター上で、外交委員会の委員長に宛てた曹大使の手紙を公開した。

ハース氏は、「中国大使はアドバイスを提供するのではなく、『私の言うとおりにしなさい』という警告だった」と書き込んだ。同氏によると、曹大使は外交委員会に対して、中国当局のルールを守ることを他の議員に伝えるよう強要した。

いっぽう、デ・フリーント氏は、中国側の「脅迫」に屈せず、引き続き中国の人権問題を批判すると示した。

同外交委員会は現在、香港問題を巡る決議案2件を審議している。これらの決議案は、中国当局による香港の自治に対する直接介入を強く非難することと、香港の法治と民主主義体制を支援するために具体的な措置を講じることを目的とする。

ベルギー議会は同国政府に対し、政治、経済、外交における中国当局との二国間関係を根本的に見直すよう求めている。議員らは、同政府が欧州連合(EU)や国連などの国際機関で中国側の全体主義的慣行を非難し、議会のこの認識を中国大使に伝えるよう要求している。

外交委員会は、曹大使の書簡に関して、2020年に導入された国家安全維持法(国安法)で民主派学者や活動家などが数多く拘束されたことによって、香港から民主主義が失われたと批判した。委員会はまた、中国当局が香港国安法第38条の下で、香港と中国本土で外国人を拘束する可能性があると挙げ、「すべての国への侮辱で、全体主義を全世界に広めようとしている」と糾弾した。

曹大使は、ベルギー議会の決議案は「中国の内政への干渉」と主張した。大使は、国安法の施行で、「香港社会はより良くなった。市民は平静な生活に戻った」とした。

ハース氏は、「中国当局は民主主義体制を全く理解していない。大使の書簡には、香港で人権侵害は起きていないという理解しがたい内容がある。全くのウソだ」と述べた。

(翻訳編集・李凌)