中国国営CGTN、米国向けにアニメで「階級闘争の進化版」宣伝

2021/09/01
更新: 2021/09/01

米国では、人種や性別に関する既存のあり方を過剰に差別的とみなして指弾する「批判的人種理論」が、左派勢力を中心に流行している。中国官製メディアもまた、アニメを通じて米国の子供向けにこの理論の普及を図っている。専門家は、この極端に不寛容な考えは「中国共産党の闘争理論に似ている」と指摘している。

最近、米非営利団体「Mythinformed」が、2020年9月に中国共産党系の英語放送局「中国環球電視網(CGTN)」が作成したアニメ動画は、中国共産党が米国の子どもたちを対象に、「人種差別的なイデオロギーを推進している」とツイッターで警告した。

CGTNは、4分間の動画の中で批判的人種理論を宣伝し、親に子供を人種活動家になるよう勧めている。

動画の冒頭には、「人種差別は世代から世代へと受け継がれる 」と書かれている。あるシーンでは、白人の子供が黒人の子供に 「君はスパイダーマンになれないよ、黒人だから 」と言っている。また、動画は親に対して、子供を「人種差別反対主義者」にさせるために、「日常生活やニュースからの例」を教育に使うよう指示している。

中国共産党による反米プロパンガンダであるこの動画は、「米国社会にはあらゆる面に人種差別が深く根ざし、制度化されている」と強調。米国に住む黒人や中南米出身の米国人が白人と比べて社会経済的に格差があるのは「白人優勢主義」と「人種差別」であると説明している。

CGTNは、中国共産党の米国における「外国代理人」と指名されている。米当局はCGTNのコンテンツが中国共産党の管理されていると米国人に警告を発している。

約1年前にYouTubeにアップロードされたこの動画は、視聴者から強烈な批判を受けた。8月16日に、「Mythinfomed」がこのプロパガンダ映像をTwitterに投稿したところ、大きな注目を集めた。

批判的人種理論 社会的対立を煽る

米国で興る批判的人種理論について、毛沢東思想に共通点を見出す専門家もいる。7月10日、アジア系米国人教育連合(Asian American Coalition for Education)の創設者であるZhao Yukong氏は、「なぜアジア人は人種差別理論を批判すべきなのか」と題した文書で、その思想統制と監視について指摘する。

「『白人』を『地主資本家』に、『有色人種』を『プロレタリアート』に、『人種差別』を『階級的抑圧』に置き換えると、批判的人種理論は中国共産党の階級闘争の進化版だ。現在は、人種闘争論として推進されていることがわかる」と同氏は指摘している。

さらに、この理論の推奨する人々は米国のなかで人種的抑圧はいたるところにあり、「『人種的平等』を達成するためには『毎年、毎月、毎日』のように人種主義を排除するよう取り組む必要がある、と説いている」とZhao氏は指摘する。

Zhao氏は、中国共産党の指導者である毛沢東の言葉を引用している。毛沢東は1962年、中国共産党中央委員会の全体会議で「階級闘争は、年ごと、月ごと、日ごとに行われなければならない」という有名な発言がある。

アフリカ系米国人の父親 批判的人種理論に反対

この半年間、アジア系米国人やアフリカ系米国人を含む多くの保護者が集まり、少なくとも26つの州で学校に導入される批判的人種理論カリキュラムに反対する活動を行った。

 マンハッタン研究所(Manhattan Institute)のクリストファー・ルフォ(Christopher Rufo)上級研究員は8月19日に、ある黒人の父親が学校理事会の会議で講演した動画を投稿した。その父親は「批判的人種理論を学校に導入することは、人種差別と戦うことではなく、わずかに残っている燃え残りをあおることだ」と述べた。

彼は、「私は北アフリカからの奴隷の子孫だ。私の両親は黒人で、4人の祖父母や8人の曽祖父母は皆黒人。私の母方はアラバマ州で、父方はテキサス州で奴隷生活を送ってきた。しかし、私は今、抑圧されていない。私は被害者ではない」と付け加えた。

この冒頭の話は、大喝采を引き起こした。彼はこう続けた。「私は米国の様々なところを旅しているが、東海岸から西海岸まで親切に、尊厳を持って接してもらっている。私には3人の子供がいるが、彼らも被害者ではないし、いじめられているわけではない。私は子供たちに、彼らは3つのことの犠牲者であると教えてきた。それは、彼ら自身の無知、怠惰、そして彼ら自身の不適切な決定である、と」。

現地のメディアによると、これらの父親たちは講演を行った後、教育委員会は3対2で、批判的人種理論をコロラド・スプリングスの第49ディストリクトから禁止することを決定した。

(大紀元日本語編集部)