北京市検察当局、テンセント子会社への訴訟呼びかける IT企業への締め付け強化か

2021/08/12
更新: 2021/08/12

中国北京市海淀区検察当局は6日、IT大手テンセント(騰訊控股)が「未成年者の合法的権益を侵害した」として、公益訴訟を起こす団体があれば支持すると表明した。中国当局はIT企業への締め付けをさらに強めている。

海淀区人民検察院が発表した声明は、テンセントが手掛けるSNSアプリの微信(WeChat、ウィーチャット)関連製品「青少年モード」は、中国の「未成年保護法」に違反したとして、テンセントを相手取って民事公益訴訟を起こすとした。同声明は、公益訴訟を起こす計画のある機関や団体に対して、30日内に申し出るよう呼びかけた。30日後に訴訟を起こす団体がなければ、海淀区人民検察院が提訴することが可能になる。

「青少年モード」とは、未成年者のインターネット上での有害コンテンツを排除し、使用時間の制限などでネット依存症を防ぐために設けられた機能である。中国当局は今年6月1日、「未成年者保護法」の改正に伴い、国内の各ネットプラットフォームやアプリに「青少年モード」を備えることを義務付けた。

いっぽう、海淀区検察当局は、テンセントがどのように未成年者の権益を侵害したかについて説明しなかった。

ウィーチャットの運営会社である広東省深セン市の騰訊計算機系統有限公司は6日夜、「青少年モード」機能を「自己検証」し、ユーザーの提案を謙虚に受け入れ、「民事公益訴訟に誠実に対応していく」との声明を発表した。

中国当局は昨年以降、独占禁止法違反やデータ保護などを理由に、国内IT大手のテンセントやアリババ集団などに対して取り締まりを強化した。

今月3日、中国国営新華社傘下の「経済参考報」は、テンセントのオンラインゲーム「王者栄耀」などを「精神的アヘンだ」と批判した。同日の香港株式市場で、テンセントの株価は前日終値比で一時10%急落した。

(翻訳編集・張哲)