中国、台山原発1号機を運転停止 一部の燃料棒に「破損」

2021/08/02
更新: 2021/08/02

中国当局はこのほど、燃料棒破損が見つかったとして、中国南部の広東省台山市にある原子力発電所、台山原発の原子炉1基を停止し、メンテナンスを行うと発表した。約1カ月半前、中国当局は、同原発で放射性物質漏れの可能性があるとする米メディアの報道を否定したばかりだ。

中国国務院(内閣に相当)の国有資産監督管理委員会の管轄下にある原子力企業、中国広核集団(CGN)は7月30日夜、声明を発表した。

声明は、台山原発1号機が運転する過程において「少量の燃料棒に破損が見つかり」、フランス側の技術者との間で話し合いを行い、1号機の運転停止を決めたとした。今後はメンテナンスを行い、破損の原因を調べ、破損した燃料棒を交換する予定だという。声明は、同原子炉は「安全でコントロールできる」と強調した。

台山原発の安全性をめぐって、米CNNは6月14日、同原発の建設に関わったフランスの原子炉メーカーであるフラマトム(Framatome)が米政府に対し、台山原発に「差し迫った放射能物質による脅威」があると警告したと報道した。また、CNNが入手したフラマトムが米エネルギー省に宛てた書簡には、中国当局が運転停止を避けるため、原発外部の放射線測定の許容限界値を引き上げたと書かれた。

中国外務省の趙立堅報道官は同月15日、CNNの報道について「異常はない」と否定し、「中国は原子力の安全性を非常に重視している」などと発言し反論した。

この翌日、中国生態環境省はウェブサイト上で、CNNの報道をめぐって、中国国内メディアのインタビュー内容を掲載した。この中で同省は、原発の運転過程において、わずかな燃料棒に破損が見つかるのは「普通にみられる現象である」として、危険をもたらす懸念事案ではない姿勢を示した。また「1号機内にある6万本余りの燃料棒のうち、燃料棒を覆う被覆が破損したのは5本くらいである」と明らかにした。同省は「周辺の放射線量に異常はない」「いかなる(放射能)漏れも発生していない」と主張。

米ラジオ・フリー・アジアによれば、フラマトムの親会社である仏電力公社(EDF)の責任者は7月22日、台山原発で見つかった燃料棒破損の問題について、フランスであれば、まず原子炉の運転を停止するだろうと示した。同責任者は、原子炉を停止する目的は、状況を把握し、問題の悪化を防ぐためだとした。

台山原発はEDFとCGNの合弁で運営されている。EDFとCGNの出資率はそれぞれ30%と51%。

(翻訳編集・張哲)