米議会委員会、北京五輪の米スポンサー企業を指弾「哀れで不名誉」

2021/07/29
更新: 2021/07/29

米議会の「中国に関する議会・政府委員会」は27日の公聴会で、2022年の北京五輪の有力スポンサー企業5社に、国際オリンピック委員会に開催地変更や延期を要求するよう圧力をかけた。会議にはコカ・コーラ、民泊仲介のエアビー、P&G、IT大手のインテル、クレジットカードのVISAの上層幹部が出席した。

中国共産党政権による人権弾圧を非難する声が高まるなか、北京五輪をボイコットする動きが出ている。

中国による人権侵害を理由に北京五輪の開催地変更または延期を支持するか聞かれた際、インテル社を除くすべての企業が、開催地の選定には一切関与していないと述べている。

クリス・スミス下院議員(共和党・ニュージャージー州)は、中国・新疆ウイグル自治区の強制収容所内で行われた性的暴行、強制的な中絶・不妊手術、その他の拷問などの疑惑に触れ、「人間として、また人権を信じる企業として、明確にする道義的責任があると思う」と述べた。

「『開催場所を変更しろ』と言えないことに困惑し、失望している」と同議員は企業の対応を批判した。

VISA社のグローバルスポンサーシップ戦略担当上級副社長のアンドレア・フェアチャイルド氏は、「各国政府が選手の競技参加を認めている限り、私たちは選手を支援し、スポンサーになる」と答えた。

また、「新疆ウイグル自治区でウイグル人に対してジェノサイドを行っているという米国政府の判断に同意するか」という質問に対し、肯定的な回答をしたのはインテル社のスティーブ・ロジャース副社長兼顧問弁護士だけだった。

「私は国務省の報告書を読んで研究しており、その結論を信じている」とロジャース氏は述べ、インテル社はすでに新疆で事業を行っていないと付け加えた。

他の4人の幹部は、政府の決定を尊重するとしながらも、意見を述べることを拒否した。

トム・コットン上院議員(共和党・アーカンソー州)は、ロジャース氏の「率直な答え」を称賛しながらも、「この8年間で参加した公聴会の中で、最も哀れで不名誉なもの」と切り捨てた。

「ロジャース氏を除いた皆さんは、中国共産党を怒らせるようなことを言ってはいけないという命令を受けて、ここに送り込まれたのだ」と痛烈な批判を浴びせた。

トム・マリノウスキー下院議員(民主党・ニュージャージー州)は、中国政府がウイグル人やチベット人のパスポートや身分証明書を拒否し、宿泊先を見つけられないようにしていることについて、エアビーのオリンピック・パラリンピックパートナーシップ担当のデビッド・ホリヨーク氏に「もっと声を上げないのか」と迫った。

ホリヨーク氏が、「同社のポリシーはホストが現地の法律に違反することを要求していない」と述べた際に、マリノウスキー議員は「あなたは、この残酷な差別に加担していることの責任を回避しようとしているだけだ 」と語気を強めた。

コカ・コーラ社も同様だった。複数の議員が、中国での人権侵害に対して同社が沈黙しているのに、同社CEOが地元ジョージア州で新たに制定された投票制限法に公然と反対していると批判した。

コカ・コーラ社の人権担当副総裁であるポール・ラリ氏は、強制収容所に人々を収容している中国共産党政権を非難するかどうかを何度も尋ねられ、特に中国を名指しすることなく、「私たちはすべての人権を尊重する」と言葉を濁した。

マリノウスキー議員は、「これは驚くべきことだ」と述べ、同社が沈黙を守っている「唯一の理由」が中国での利益を守るためであることは「絶対に明らかだ」と付け加えた。

「彼ら(中国)を恐れるあまり、米国で批判されることを気にしなくなっている。これは恥ずべきことだと思う」と同議員は厳しい言葉をかけた。

(翻訳編集・李沐恩)