中国共産党機関紙・人民日報傘下の環球時報の胡錫進編集長は最近、カナダのトルドー首相を嘲笑する風刺画をツイッターに公開した。一部の専門家は、「このような子供じみた戦狼スタイルの外交手段は、何の役にも立たない」と指摘した。
胡氏はツイッターに、(腐敗した動物の死骸を食べる)ハゲタカが上空で旋回する墓地で、蓋骨の山に座るトルドー首相を描いた風刺画を投稿した。
イラストは、同国で先住民族を対象とする寄宿学校の跡地から子供の遺骨が発見されたことを題材にした。
ドルドー首相と思わせる人物の「吹き出し台詞」には、「私たちはあなたたちの土地を盗み、あなたたちを殺し、あなたたちの子供たちを埋めた。私たちと和解しよう」と書かれている。
胡氏は「この人は誰?彼は先住民に唾をかけられるのが心配じゃないのか?」と書いた。
駐ブラジル中国大使の李楊氏も同風刺画をリツイートし、「あなたのいわゆる和解は、誇示に値するものだと思っているのか?」と首相を批判した。
李氏は今年3月にも、ツイッターでトルドー首相を「アメリカを追いかける犬」と侮辱していた。
カナダと中国の歴史に精通するカナダの歴史擁護会の列国遠会長は、トルドー首相とカナダを侮辱するこのような方法は極めて下劣なうえ、是非を転倒させていると非難した。
「カナダは6年間かけて、全国の6500人の証人を尋ねた。当時の先住民寄宿学校の制度の悲劇的な歴史と被害について非常に詳細な調査を行い、国民教育を行った」
「一方で中国は今も新疆ウイグル人に対して大規模な迫害を行ってる。それなのに北京はそれを否定している」
元駐中国カナダ大使のデビッド・マルルーニー(David Mulroney)氏は、「もし人々が中国とカナダが道徳的に対等な立場にあると信じたならば、それは北京にとって大きな勝利だ」と述べた。
カナダ・ヨーク大学の沈栄欽准教授は、「中国はこの戦術を通じてカナダの内部を混乱させ、新疆での残酷行為などの問題から注目を逸らそうとしている」
「これはカナダを分断させる中国の方法の一つだ」「これら2つの事件(新疆での迫害とカナダの先住民寄宿学校問題)を同列に論じる人は、両者の本質的な違いを見落としている」と指摘した。
最近、中国の外交官は相次ぎ、SNS上で「戦狼外交」を繰り広げている。
中国外務省の趙立堅報道官は昨年、オーストラリア兵がアフガニスタンの子供を殺害しようとしている画像をツイッターに投稿した。
同報道官は最近もツイッター上に、葛飾北斎の浮世絵をアレンジした風刺画を投稿し、福島原発の処理水の海洋放出を決定した日本を批判した。
駐パキスタンの中国文化顧問である張和清氏は、相手を侮辱する意味のある「中指立て」ポーズの画像をツイートし、「敵に対処する時、私たちは戦狼だ」とコメントした。
沈准教授によれば、「そのような戦狼スタイルは非常に幼稚であり、自国の品格を下げる以外に何の役にも立たない」と指摘した。
同氏はまた、「中国にはカナダを効果的に制裁する方法はない。中国はカナダにとって2番目に大きい貿易国であるが、全体の4%しか占めていない。しかし、中国の食糧不足はカナダ産の穀物や肉に依存している。明らかに、中国はSNSを通じて、うっぷんを晴らすしかない」と述べた。
(翻訳編集・李凌)
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