中山泰秀防衛副大臣は6月28日、中ロ間の協力関係から生まれた世界への脅威が増大していると警告を発した。また、中国共産党が台湾や香港に対する圧力を強めるなか、中共が独自に主張する「一つの中国」理論を国際的に容認しつづけることに疑問を呈した。
米シンクタンク「ハドソン研究所」での対談企画にオンラインで出演した中山氏は、「日本は台湾の友人ではなく、兄弟だ」と明言し、「民主主義国家である台湾を守らなければならない」と、中国から台湾に対する圧力に国際社会は対処する必要があると呼びかけた。
中山氏は、中国とロシアが相互に協力し合うことで、長距離ミサイルの開発や頻繁な領空侵犯などの脅威が深刻化しているとした。中山氏は世界地図を手に取ってカメラの前に掲げ、中国の最新の攻撃範囲と大陸間弾道ミサイル巨浪3号(JL-3)の射程範囲を示した。このうえで、中国とロシアは米国の東海岸やホワイトハウスまで狙っている可能性があると述べた。
また、中山氏は、1970年代以降に日本や米国を含む多くの国が認めた、中共独自の「一つの中国」理論に疑問を呈した。これにより、中共は台湾の独立した自治を否定し、統一を正当化している。中山氏は「これでいいのだろうか」と述べ、各国首脳に対して再考を促した。
さらに、民主主義国家は互いに、台湾を守ることを呼びかけた。「民主主義的な国々はそれぞれの同盟国を、独裁者から中国とロシアから守らなければならない」と語った。さらに、安全保障の領域は、空、海、陸、サイバー、宇宙に加え、電子戦も含まれると付け加えた。
日本にとって中国が仕掛ける台湾の危機は、安全保障上の脅威とみなされている。岸信夫防衛相は25日までにブルームバーグの取材に応じ、台湾の平和と安定は「日本に直結している」との認識を示した。台湾の有事は、少なくとも沖縄に直接影響するとみられる。沖縄県最西部は台湾から110キロと近く、沖縄本島には何千人もの米軍が駐留している。
中山氏は、インド太平洋でより積極的に行動する中国やロシアに対して、防衛だけではなく、「抑止力を示さなければならない」と述べた。例として、敵の攻撃の射程外から発射できるスタンドオフミサイルの設置や、中ロが開発した極超音速巡航ミサイルを探知する新たな衛星群の打ち上げを挙げた。
また、日米両軍の相互運用性を維持するために、日本はステルス戦闘機「F-35ライトニング2」や他の技術を米国から購入しており、さらには、両軍の活動を理解するために継続的な演習を行っていると述べた。「日米は今や最も強力な同盟であり、他の同盟関係とは比較にならない」と強調した。
加えて、中山氏は、菅政権は有権者に対して、防衛費増額のための説明を行わなければならないと語った。日本の防衛費負担は過去9年間で増加しているが、国内総生産(GDP)の約1%にとどまっている。さらに、防衛費の50%は給与に充てられているという。
(佐渡道世)
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