新型コロナウイルスのワクチン接種率が世界で最も高いセーシェル共和国で、感染者数が7日までの1週間で2倍以上に急増した。 当国で接種されたワクチンのおよそ6割が中国医薬集団(シノファーム)ワクチンであることが知られている。世界保健機関(WHO)は同国の状況を精査すると発表した。
ブルームバーグ通信10日の報道によると、セーシェル保健当局は10日、新型コロナウイルス感染者は2486人で、先週以後2倍以上急増したと発表した。そのうち37%は、先日当局が実施したワクチン接種を2回終えていたという。
セーシェルで接種されたワクチンのうち、57%は中国製ワクチンで、残りは英アストラゼネカのライセンスを得てインドが生産したコビシールドだという。
アフリカ、インド洋一帯の島国セーシェルの人口は10万人弱。セーシェルはワクチンの完全接種率(2回以上接種した比率)が全人口の62.2%に達し、世界で最も高い。
同通信は昨年末に南アフリカ型変異株「B.1.351」が今年2月にセーシェルで発見され、接種したワクチンの効果が変異株に弱い可能性も指摘した。
セーシェルでは1月、中国シノファームが開発したワクチン5万回分が、アラブ首長国連邦(UAE)から寄付された。同月、セーシェルのラムカラワン大統領は訪問した中国・王毅外相と会談し、中国製ワクチンを進んで接種する考えを表明していた。
セーシェルの国営通信は当時、アフリカでワクチン接種が行われるのは初めてと強調した。アフリカへの政治的影響を強める中国の「ワクチン外交」の一環と考えられている。
(編集・潤水)
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