警視庁公安部は20日、2016年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)など国内200あまりの組織に対するサイバー攻撃に関与したとして、中国共産党員の男を私電磁的記録不正作出・同供用の疑いで書類送検した。複数のメディアが報道した。JAXAは大紀元の取材に対し、攻撃後はセキュリティを強化するなどの対策を行ったと回答した。また、情報の流出もないという。いっぽう、街頭インタビューでは、日本のサイバーセキュリティの甘さを指摘する声も聞かれた。
報道によると、サイバー攻撃は、中国人民解放軍の専門部隊「61419部隊」が主導した疑いがある。党員の男はシステムエンジニアで、中国国営の大手情報通信会社に所属していた。以前公安部の調査を受けていたが、出国した。
JAXAの広報担当は取材に対し、「(2016年に)不正アクセスがあったことは把握している。情報の流出はなかった」と回答した。攻撃を受けて、組織内のセキュリティを強化する対応を行ったと述べた。
なぜ当時の事件が今になって公開されたのかについて、JAXA担当者は「分からない」と述べた。担当者は「捜査に関わること」であるとして事件の詳細に関する回答を控えた。
民衆の反応
日本の民衆は中国共産党によるサイバー攻撃についてどのように考えているのか。大紀元は銀座で街頭インタビューを行った。
インタビューに応じた女性は、「日本のセキュリティがなぜこのように甘いのか、何を使っていいのか、私たちも困惑している。日本のセキュリティはどこの国よりも甘いと思う」とし、「アニメなどもすぐ真似されるのに、国がすぐに動いてくれるわけではない。国自体がすぐ動く状態にしないといけない」と述べた。
ビジネスマンの男性はインタビューに対し、中国共産党は昔からいろいろと仕掛けてきたと話した。「人権問題、国境の問題、台湾の問題など、アメリカと協働してある程度主張しないといけない。そうしないと日本の立場も弱くなってしまう、世界に馬鹿にされる恐れもある」
サイバーセキュリティは時代の要請
情報通信技術(ICT)の発展により、サイバーセキュリティはますます重要度を増している。諸外国の政府や機関は近年、多発するサイバー攻撃を問題視し、各国の政府や軍は対策を講じている。
2013年2月、米サイバーセキュリティ会社マンディアント(Mandiant)は、米企業に対する相次ぐサイバー攻撃に中国人民解放軍(PLA)の「61398部隊」が関与しているとの報告書を発表した。2014年5月、米司法省はPLAの将軍らを米企業に対するサイバー攻撃の疑いで起訴した。
米国のみならず、北大西洋条約機構(NATO)は2008年以降、サイバー防衛能力を高めるために、毎年サイバーセキュリティ関連の演習を行っている。英国は2011年11月に「サイバーセキュリティ戦略」を発表し、諸外国との協力や人材育成など具体的な政策を定めた。
日本は、NATOが主催するサイバー防衛演習「ロックド・シールズ2021」(4月13〜16日開催)に今年初めて正式に参加した。防衛省は、サイバー攻撃への対処能力向上およびサイバーセキュリティ動向の把握を図っている。
日本に対するサイバー攻撃の脅威が高まっているとの報道もある。3月下旬、台湾国家安全局の胡木源副局長によると、データや技術の調達を目的とする中国共産党の違法活動により、インド太平洋諸国の中でも特に日本と韓国における脅威が高まっているだけでなく、公正な取引環境が損なわれつつある。
令和2年度の「防衛白書」によると、海外からのサイバー攻撃が深刻化するなか、政府が中心となって海外の関連機関と協力することが重要としている。
(蘇文悦、王文亮)
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