中国広東省東莞市当局はこのほど、交通事故を引き起こしやすいとして、全市でバイクや原付電動スクーターの使用者に対する取り締まりを一段と強化した。当局は大量の警官を投入し、民家を一軒一軒調べ、家の前に駐車されているバイクなどを直接没収した。地元住民の間では、当局の暴力的な取り締まりに不安と不満が高まっている。一部の市民は「まるで村に略奪者が入ってきたようだ。われわれは全く抵抗できない」と嘆いた。
東莞市は、バイクの安全性問題や排気ガス削減、交通渋滞などの対策として、2009年からバイクや原付電動バイクの利用を禁止した。これまで、当局は違反者の車両を取り上げ、罰金が支払われた後に返却するという形で取り締まっていた。
東莞市警察が24日に公式ウェブサイトに掲載した公表では、同日、当局は警官2500人を出動させ、417台のバイクや原付電動バイクを没収し、無免許運転で15人の市民を行政拘留した。
ネット上に流出した市警察交通部門の内部資料には、「すべてのバイクを差し押さえるようにしてください。たとえライダーが正規の運転免許証を提示できても、盗難の疑いで車両を押収し、審査を行った後に対処するように」と書かれている。
多くの東莞市民は「バイクなどの販売店は通常通り営業しているのに、なぜ利用者だけを取り締まるのだ」と当局のやり方に理解できずにいた。
これに対して、同市でバイク販売店を経営する王さんは、「SNS上の情報で、警官らが取り締まり中、暴行を加えたため、負傷したライダーもいると知った。当局がどのような基準を持って、取り締まっているのかが全くわからない。私たちは非常に困惑している。バイクだけでなく、電動自転車に乗っただけで逮捕された人もいる」と大紀元に語った。
王さんは、「当局はまるで略奪者のようだ。われわれ市民の怒りは強くなっている。しかも、今、状況が悪化している」と明かした。
東莞市民は中国版ツイッター、微博(ウェイボー)上で、「今日、地元で電動バイクなどの取り締まりのせいで、3件の(交通)事故が起きた」「数十人が老夫婦を囲い、彼らをバイクから無理やり降ろして、バイクを強引に奪ったのをこの目で見た」「なぜ子どものおもちゃの車まで没収されなきゃいけないのか?」 などと次々と投稿した。
一方、出前配達員として働く陳さんはバイクの使用禁止で、配達員は大変な目に遭っていると述べた。「大半の配達員たちは今、(レストランなどの依頼を)受けないようにしている。街に出ればすぐに取り締まられ、1200元(約2万円)の罰金を受けるのだ。国の基準では時速25キロ以下で走行しなきゃいけないが、このスピードでは時間通りに配達できない。スピードをオーバーすれば、罰金される。電動スクーターが違法な乗り物であるなら、なぜそれの製造・販売を許すのかがわからない」と憤慨した。
市民は、当局の取り締まりで通勤手段がなくなり、出前や宅配サービスも利用できなくなったと怒りをあらわにした。飲食店などの経営者も、商売に大きな影響を与えたと不満を募らせた。
(大紀元日本ウェブ編集部)
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