コロナ禍も軍事費は増加 人民解放軍は装備を大量配備=英シンクタンク

2021/03/02
更新: 2021/03/02

英ロンドンの防衛関連シンクタンク「国際戦略研究所(IISS)」は2月14日、2020年度の年次報告書「ミリタリーバランス(Military Balance)」を発表した。IISSの研究によると、中共ウイルス(新型コロナウイルス)が経済に大きなダメージを与えているにもかかわらず、全世界の軍事支出は上昇し続けている。特に中国人民解放軍は装備の新鋭化を進めており、各種装備の大量配備を行っている。

年報によると、中共ウイルスのパンデミックにより、世界経済は約3.5%萎縮した。いっぽう、2020年度の世界の軍事支出は1兆8300億ドル(約195兆円)となり、前年と同程度の伸びを維持した。米国の軍事費は7380億ドルと全体の4割を占める。2位は中国、3位はインド、4位は英国で、日本は8位だった。米国の規模は、中国の4倍、日本の14倍に相当する。

年報は、中国人民解放軍が「沿岸地域での優位性を獲得しようとしている」ことについて指摘している。中国人民解放軍は軍事力の増強が著しく、過去5年間にコルベット艦の数を2倍に増やし、現在では55隻保有するに至った。そのほかにも8隻目のType-055巡洋艦と、25隻目のType-052D駆逐艦が進水した。また、同じ数量の古い艦を淘汰していることから、近代化を図っていることが分かる。

さらに、中国人民解放軍は強襲揚陸艦の数を3隻から6隻に増やした。大規模な上陸作戦の能力を強化する狙いがあるとみられる。最新式の075型強襲揚陸艦は「726型エア・クッション型揚陸艇」を3隻搭載でき、1900人の海兵隊員の収容が可能とのこと。さらに、約30機程度の回転翼機を搭載できるとされる。

報告は、中国人民解放軍が空軍の増強を図っていることにも言及している。中国人民解放軍空軍は、より多くのJ-10C、J-16、およびJ-20戦闘機の配備を進めており、同時に爆撃機の能力向上も図っている。空中輸送能力の向上も目覚ましく、2016年に3機だった最新鋭の大型輸送機Y-20は、2020年には22機に増加している。これは中国が短期間で空輸能力を2倍にしたことを意味する。

(王文亮)

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