米トランプ政権は10月9日、中国語や中国文化について教育を施す中国官製の教育機関・孔子学院について「中国共産党のグローバルな政治宣伝機関として、悪意ある活動を米国内の大学などで展開している」「恐ろしい影響をもたらす」と米国内教育機関に強く警告した。
AP通信の報道によると、米国務省と教育省が、米国内の大学と州教育当局へ宛てた同書簡には「孔子学院は中国共産党(以下、中共)に米国での足場を与え、言論の自由に対する脅威となっている」とし、学校側は同学院の活動を検閲し、教育環境を守るための行動を起こすべきだと書いた。
米国務省は8月、同学院を外国の大使館などと同じ「外交使節団」に認定。今後、米国内での人事や保有資産を米政府に報告することを義務付けた。
中国教育省傘下の国家漢語国際推進指導小組弁公室(漢弁)が運営する孔子学院は、米国や欧州を中心に世界各国の小中、大学などと提携を結び設置されている。同学院と大学機関未満の教育機関に設置する孔子課堂は、世界130の国と地域に1500カ所以上ある。日本には15カ所ある。
菅義偉官房長官(当時)は8月の記者会見で、米国の外国公館に相当するとの決定を受けて「わが国も(孔子学院の)動向を注視している」と述べている。
中国国務院は、孔子学院は「核心価値である社会主義を基礎とした教育を広める」ことを目的としていると説明している。孔子学院本部理事会主席には、中央統一戦線工作部部長を歴任した劉延東・前副首相が務めていた。
孔子学院は「中国の影響力の拡大を図るもの」として問題視されている。ピッツバーグ大学の孔子学院は、今年6月30日に閉鎖されるなど、各地で閉鎖が相次いでいる。
同学院では、教師の指名、給料の支払いや教材など多くは中国側によって提供される。米国務省と教育省は同書簡で「彼らは中共が反体制派や宗教団体、少数民族をどのように扱っているかなど、中共が議論を避けたい話題に触れることはないだろう」と、学校側は「中共に支配されすぎている」と指摘した。
また、多くの米国の学校は、中共の関与なしに「優れた中国語と中国文化のプログラムを確立している」という。
書簡によると、中共による言論の自由の抑圧を懸念した米国の一部の大学教授は、中国や香港出身の学生に対して、中国の政治については匿名で議論するよう助言しているという。
米国留学中に投稿したツイートのために、少なくとも1人の中国人留学生が最近、中共に投獄された事件が起きている。米当局者はこうした例をあげて、中共に対する懸念は「不合理ではない」としている。
マイク・ポンペオ国務長官とベッツィ・デボス教育長官よって署名された同書簡は、米国における中共の影響力を封じ込めるトランプ政権の最新の取り組みを示している。
米国は中共に対して貿易、中共ウイルス(新型コロナウイルス)および宗教や少数民族など人権問題への責任追求を続けている。さらに、知的財産権盗用の阻止を支援するよう大学側に要請している。
(大紀元日本語ウェブ)
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