カナダの通信事業大手もファーウェイを排除 専門家「米国の制裁が奏功」

2020/06/05
更新: 2020/06/05

カナダの通信大手・テラスとBCEが、5Gネットワークの構築から中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)を排除することを決めた。

BCEは6月2日、同社の5Gネットワーク構築においてエリクソンと提携すると発表し、テラスもその数時間後に同様の発表をし、エリクソンとノキアと提携することを明らかにした。

マクドナルド・ローリエ研究所の外交政策担当シニアフェローであるシュヴァロイ・マジャンダー(Shuvaloy Majumdar)氏は「ファーウェイは、自身が民間企業だということ、信頼できるパートナーだということを証明できませんでした」と話す。

最近の調査によると、5Gネットワークの構築にファーウェイの採用を認めるべきだと考えているカナダ人はわずか14%だった。カナダ政府は、同社の5Gインフラへの参入可否について、まだ決定していない。

カナダの同盟国もまた、ファーウェイを5Gネットワークから排除する動きを強めている。米国は、カナダを含む同盟国に対し、ファーウェイの参加を認めるなら情報共有を制限すると警告した。そして先週、英国がファーウェイに代わる5Gサプライヤーを確保するために、G7諸国やその他の国々と10カ国連合を結成しようとしていると報じられた。英国では、中国政府の中共ウイルスへの対応に対する反発が高まっている。

「英国が主要市場国から成る5G代替コミュニティーを結成しようとしていることを考えると、ノキアとエリクソンの5G技術が注目されるようになったのも不思議ではありません」とマジャンダー氏は言う。

ロジャース・コミュニケーションズはカナダの3大通信会社の中で最初に、ファーウェイを5Gネットワークに使わないと発表した。昨年、同社の副会長はブルームバーグに対し、ファーウェイはカナダにとって脅威であり、5Gネットワークから締め出すべきだと語っていた。

しかし、カナダ政府がファーウェイへ許可を出すかどうか不透明であるなか、テラスは当初、5Gでファーウェイと提携することを示唆していた。

クイーンズ大学とロイヤル・ミリタリー・カレッジ・オブ・カナダで政治学を研究するクリスチャン・ロイプレヒト(Christian Leuprecht)教授によると、テラスとBCEにとって、ファーウェイのライバル企業と手を組むことはビジネス上の決断だったという。

「中国におけるビジネスの不確実性を見ると、ビジネスリスクは大幅に増加しています」とロイプレヒト教授は話す。

ファーウェイは、トランプ政権による制裁によって経営が悪化した。最近、米トランプ政権は、サプライヤーが米国の技術を使って生産した半導体をファーウェイに販売することを禁止にした。

「これは非常に大きな影響があります」とロイプレヒト教授は言い、ファーウェイを採用したいと思う通信会社のビジネス展開に影響を与えていると付け加えた。

同教授は、世界中の通信会社がお互いに情報交換しているので、カナダの通信会社の決定は連鎖効果をもたらすと話した。
 

打ち砕かれた信頼性

 

ファーウェイが孤立を深めるなか、西側諸国の5Gネットワークに採用されなければ、同社の信頼性はさらに損なわれる。

「取引しているのが独裁者だけなら、それはビジネスにとってあまり良いことではありません」とロイプレヒト教授は言う。

ファーウェイが競合他社と違う点は、中国人民解放軍の元幹部により創設された同社が、お金を払う人なら誰とでもビジネスを行うことだと同教授は言う。

「カナダ市場への参入は、中国が市場シェアを増やすと同時に、ファーウェイにとっても(元々あまり高くない)信頼性を高める機会でした」

この現状はすべて、ファーウェイのビジネス展開を困難にするための米国の戦略が、功を奏したことを示していると彼は話す。

「これがアメリカの狙いです。ファーウェイにとって非常に厳しい市場環境を作り出せば、ビジネス展開の方法が変わります。これは実際に現在起こっていることです」とロイプレヒト教授は説明した。

「安全保障問題を提起しながらも、同盟国に十分な圧力をかけ、そして非常に的を絞った貿易制裁を発動し、ファーウェイに多大な被害を与えたという点で非常に巧妙でした」

(大紀元日本ウェブ編集部)