ブラジル下院議員はこのほど、在ブラジル中国大使館から同国国会議員に、台湾の蔡英文総統の就任式を無視するよう要求する書簡が届いたことを明らかにした。ブラジル国内では、中国共産党による強引な手法に不快感をつのらせている。人々は蔡総統と台湾にエールを送った。
Em carta, a embaixada da ditadura chinesa recomendou o silêncio dos parlamentares brasileiros em relação à posse da presidente de Taiwan. Uma afronta. Diz que não podemos nem felicitar a presidente. Portanto, mesmo com atraso, felicito a presidente Tsai Ing-wen pela posse. pic.twitter.com/fV6TikQ2IG
— Paulo Eduardo Martins (@PauloMartins10) May 25, 2020
5月26日、SNSのツイッターでは、#Viva Taiwan(台湾万歳)が突如としてトレンドとなった。この言葉とともに台湾とブラジルの国旗が写った画像が大量にツイートされた。 ネットユーザーらは、「美しい国」「台湾を応援している」「ブラジルを応援している」「蔡英文総統おめでとう」「台湾大好き」などの言葉が書き込まれた。
書簡を公開したのは、パウロ・エドゥアルド・マルティンス下院議員。同議員は26日のツイートで、在ブラジル中国大使館が議員に送った手紙を公開した。 大使館の書簡はブラジルの国会議員に対し、台湾の蔡英文総統の就任式を無視するよう要求した。
マルティンス議員は書簡の公開とともに、蔡総統の就任を祝福したいとツイートした。 台湾・自由時報によると、台湾外交部(外務省)はこれに対し、「台湾政府と国民はブラジルの友好と支援に心から感謝している」と回答したという。マーティンス議員は自由を守ることは名誉なことだと述べた。
在ブラジル中国大使館からのこの手紙が公開されたことで、多くのブラジル人の間で不満が噴出している。人々は、中国共産党が「例外的に恥知らずな大使をブラジルに派遣した」「私たちは台湾と気持ちを共有できる」「みんなが共産主義にノーと言わなければならない」「台湾が常に自由であることを願う」と書き込んだ。
こうしたブラジル側の反応を受けて、蔡英文主席は「ブラジルの友人の皆さん、心のこもったお祝いをありがとうございます。 皆さんの安全と健康を願っています。 #VivaTaiwan #VivaBrazi」と書き込んだ。
中国とブラジルは昔から友好的な関係にあり、両国は新興国市場5カ国BRICS5の主要メンバーだ。お互いに総合的な戦略パートナー関係を結んでいる。しかし、新型コロナウイルスが大流行して以来、両国の関係はぎすぎすしている。
ブラジル大統領の息子であるエドゥアルド・ボルソナロ下院議員は5月1日、ウイルスの流行は中国の権威主義的な支配によるものだとツイートした。議員は、新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と例えた。リオデジャネイロの中国総領事・李陽氏はすぐさま反応し「中国への侮辱行為」と批判した。
その後、ブラジルのべイントラウビ教育相も、「ウイルスがパンデミックを起こしているのか、中国による世界支配を助長しているのか。中国企業がウイルス危機で莫大な利益を上げている」とツイートしていた。
在ブラジル中国大使館の広報担当は、べイントラウビ教育相の発言に激しく抗議した。続いて楊万明駐ブラジル中国大使は、エドゥアルド議員に中国への謝罪を要求するとツイートをし、ブラジル外務省に抗議の意向を示した。
ブラジルでのウイルス流行は非常に深刻で、確認された患者数は36万人を超え、世界で2番目に多く、死亡者数は2万人を超えた。
(翻訳編集・佐渡道世)
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