英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は2日、中国のハイテク企業が国連に協力し、顔認証技術の新国際標準の制定に関わっていると報道した。米政府が禁輸措置対象リストに追加した中国通信設備大手の中興通訊(ZTE)と監視カメラ大手の浙江大華技術、中国国営電気通信大手の中国電信(チャイナ・テレコム)が含まれているという。
FTは、中国当局は顔認証技術の国際標準の制定に関わることによって、今後、顔認証市場の主導権を握る狙いだとの見解を示した。アフリカ、中東、アジア地域の開発途上国は、国連の専門機関の一つである国際電気通信連合(ITU)が定める国際標準を導入している。中国当局はすでに、巨大経済圏構想「一帯一路」政策の下で、これらの国に監視技術と設備を提供した。
南アフリカ最大の都市ヨハネスブルグでは今年、中国海康威視(ハイクビジョン)の顔認識機能内蔵のカメラ15000台が取り付けられた。ウガンダは全国範囲で華為(ファーウェイ)の顔認証機能付きの監視カメラを導入した。
報道によると、ITUは2年以内に新標準を完成し導入しようとしている。FTは、国際標準は世界各国、特に中国製の監視カメラを使用している途上国に大きな影響を及ぼすと指摘した。「中国企業は、有色人種の顔認証技術を高めようとしているため、アフリカに大きな興味を示している」という。
世界トップレベルの顔認証技術を持つとされる、中国AI企業の雲従科技(CloudWalk)はジンバブエ政府から、数百万人のアフリカ人の顔画像を提供され、技術の向上を図っているという。
CloudWalk社は中国共産党政権によるウイグル人への監視プロジェクトにも協力している。同社の宣伝資料によると、同社の技術は敏感な人物を識別することができる。1人のウイグル人しかいないエリアに、20日間に6人のウイグル人が現れたら、「即座に当局に通報する」という。
その一方で、FTによると、米シンクタンク・カーネギー国際平和基金の技術専門家はITUの国際標準について「透明性に欠ける」と批判した。人権弁護士らも、ITUによる顔認証技術の標準化の議論に「人権やプライバシーの保護、消費者権益の保全の専門家が関わっていない」と非難した。
ITUには192カ国が加盟している。2015年1月1日以降、中国元郵電部(現在の工業・情報化部)設計院の技術者だった趙厚麟氏が同機関の事務総長を務めている。
(翻訳編集・張哲)
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