最近、ソマリアのテロリストによる攻撃で、装甲人員輸送車に乗車中のケニア警備員5人が死亡した。装甲車は中国から購入したもので、その品質が疑問視されている。
過去9年間、ケニア軍はアフリカ連合軍ソマリアミッション(AMISOM)とともに、ソマリアの過激派グループであるアル・シャバーブ(Al-Shabaab)と戦っている。軍は、外国人や観光客、ビジネスマンの安全を確保するために、ソマリア国境のパトロールを展開している。
このほど、アル・シャバーブが国境沿いで観光客と人道支援活動家を拉致した時、ケニア軍と衝突した。9月10日、警備員を乗せた装甲人員輸送車はアル・シャバーブから携帯対戦車グレネードランチャー(RPG、擲弾発射器)で攻撃され、5人が死亡、20人が負傷した。
2016年2月、ケニアは装備強化のために、中国最大の兵器メーカー・中国北方工業(Norinco)のVN4装甲人員輸送車を30台購入した。これらは国境パトロールに使用された。
しかし、装甲車は人員を攻撃から保護できなかった。
2017年には、同じ中国製装甲車が国境沿いの街ラムを走行中、爆発装置によって爆破され、乗車していた6人の政府職員と1人の民間人が死亡した。
死亡事故の発生により、ケニア軍は中国製装甲車の安全性を疑っている。
ケニアの首都ナイロビで約40年間セキュリティコンサルタントとして働いてきた元米国海兵隊員のアンドリュー・フランクリン氏は、大紀元の取材に対して、ケニアの指導者が個人の利益を得るため、中国から装甲人員輸送車を購入したとの考えを示した。
「ケニアの軍事装備品を見ると、中国の装甲輸送車は必要ない。ソマリア国境沿いのテロ組織との戦闘に必要な装甲車は十分、揃っている」と述べた。
「中国から輸入された装甲車は戦闘地帯で使用するために作られたものではなく、むしろ都市部の仕様になっており、抗議者の鎮圧などに適している。戦闘地帯で使用するAPCの底面は平らではなく、V字型にする必要がある。地雷に当たっても不安定にならず、転倒しないようにするためだ」
苦情
2017年、ケニア紙スタンダードは、専門家が装甲車の使用開始から数日後に起きた3つの事件を分析し、その安全性に疑問を投げかけていると伝えた。
「最初の例は、車両のフロントガラスが走行中に粉砕した。別の事例では、警備要員が、複数の車両から燃料漏れがあると報告した。さらに別の人物は、換気が十分にできないと不満を訴えた」
記事によると、ケニア軍関係者が装甲車の製造メーカーに、車両内にいてもらい、外から銃撃を受けた時に安全かどうか確認したいと申し出たが、拒否された。「装甲車内部は命の危険にさらされない」と言い張ったという。
適性
ケニア警察チャールズ・オウィノ(Charles Owino)広報担当は、9月の事件から1週間後の記者会見で、装甲車は、グレネードランチャーに耐えられないことを認めた。
中国から購入した装甲車と耐地雷・伏撃防護車両(MRAP)は攻撃に耐える機能が異なる、特定の任務に使用されると述べた。
現地紙ビジネスデイリーは、ケニアは、米国製の軍事車両よりもはるかに安い中国車両を購入したと批判した。
前出のフランクリン氏は、既存の米製車両をグレードアップしたほうが効率が良いとみている。「米国では、1974年に私が若い海兵隊員として指揮していた時と同じ車両がまだ使用されている。これらを現代の基準に合わせて改良できる」
米国は、2017年5月に米国議会が承認した総額2億5300万ドルの武器取引の一環として、今年12月に6台の米製軽攻撃ヘリコプターをケニアに引き渡す予定だ。
(文・DOMINIC KIRUI/翻訳編集・佐渡道世)
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