「反中記事が数時間で削除」アフリカでメディアの自己検閲進む=米コラムニスト

2018/10/15
更新: 2018/10/15

米ジャーナリストのアザッド・エッサ(AZAD ESSA)氏は9月中旬、米誌フォーリン・ポリシーへの寄稿で、アフリカで報道機関の自己検閲が進んでいると指摘した。

エッサ氏によると、同氏は9月初め、南アフリカで二番目に大きいメディア「インデペンデンス・メディア」が発行する新聞のコラムで、中国当局のウイグル人弾圧政策について評論記事を発表した。しかし、同記事は新聞の電子版に掲載された数時間後、担当者から記事の取り下げを伝えられた。さらに、同新聞社は翌日、「紙面のリニューアル」との理由でコラムそのものを廃止した。

エッサ氏は2016年9月から、週に一回コラム記事を執筆していた。中国の国有企業がインデペンデンス・メディアの株式20%を保有している。

インデペンデンス・メディアのウェブサイトによると、中国国営中央テレビ(CCTV)傘下の中国国際電視総公司(CITVC)と中国アフリカ発展基金(CADFUND)が同社の株主である。

エッサ氏によると、1999年以降中国当局は積極的な海外投資戦略を展開し、アフリカ各国のメディアに対して、数百万ドル規模の投資を行った。中国の目的は、欧米で増加する中国批判の報道に対抗して、アフリカでイメージアップにつながる宣伝を強化するためだ。中国当局はアフリカで、中国メディアの支社設立やアフリカの各メディア企業の株式保有・出資などに力を入れてきた。

現在、中国当局の後押しを受け、地上デジタル放送などを提供する中国メディア、スタータイムズ・グループ(StarTimes Group)がアフリカ30カ国で事業を展開している。

今年9月に北京で開催された中国アフリカ協力フォーラム首脳会合で、中国当局はアフリカ諸国に対して、600億ドル(約6兆7千億円)の金融支援と一部の国の対中債務の免除を決定した。

いっぽう、エッサ氏はインデペンデンス・メディアなど親中メディアは、中国の融資による債務急増問題や中国の「新植民地主義」を批判していないと述べた。住民は「中国投資の恩恵を受けている」という内容が、紙面に踊っているという。同氏は、今後アフリカで報道機関の自己検閲がさらに進むと懸念している。

(翻訳編集・張哲)