国際協力銀行(JBIC)の前田匡史総裁がこのほど、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)に対して、中国当局が産業戦略を通じてハイテク技術を入手していることは、欧米の民主主義国家にとって「非常に危険だ」と強い警戒感を示した。
WSJ(27日付)によると、前田総裁は、中国当局が個人のプライバシーを無視してビッグデータ収集していると指摘した。「中国のような全体主義の政権」はビッグデータを乱用する可能性が高いとの見方を示した。
総裁は、中国の産業発展政策「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」にも言及した。この政策によって、中国企業は人工知能(AI)や他の新ハイテク分野で優位に立つと、総裁は警戒する。ハイテク技術の開発には、数十億件のオンライン・チャットなどのビッグデータ収集・分析が必要だ。総裁はこの状況について「非常に危険だ」と述べ、米・欧州連合(EU)・日本を含む各国が、ビッグデータの活用に関する共通の規定を策定する必要があると強調した。
中国は現在、ビッグデータを応用した顔識別技術大国となった。当局はこの技術を国民の監視と体制維持のために使っている。
一方、日本政府は4月、米国と連携して、世界貿易機関(WTO)で国境を越えたデータの流通自由化、強制的技術移転の禁止になど盛り込んだ新ルールの提案に動き出している。データを独占しようとする中国当局をけん制する狙いがあるとみられる。
中国当局が昨年から施行した新『インターネット安全法』では、外国企業に対して、中国国内で収集した顧客の個人情報や他の企業の情報を中国で保存し、国外に持ち出す場合、中国公安当局の審査を受けなければならないと定めた。事実上、外国企業に中国国内にデータサーバーの設置を強要した。
日米両国は4月の提案で、中国を念頭に、外国製品のソースコードの開示要求を禁止するよう強調した。
(翻訳編集・張哲)
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