米証券取引委員会(SEC)は5日、米国株式市場に上場する企業の不正を通報したという人物に、410万ドル(約4億6000万円)の奨励金をはらうと発表した。米国営ラジオVOAが報じた。
SECによると、この告発者は同企業の元従業員で、同社の長期かつ広範にわたる違法行為をSECに知らせ、調査に全面的に協力した。告発者の安全保護などの理由で、名前や国籍、居住国などすべての個人情報、企業名を公表していない。ただし、米国外からの情報だという。
2010年から施行した米ドッド=フランク・ウォールストリート改革及び消費者保護法は、米上場企業の不正をSECに告発する人への奨励を制度化した。これまでに、米国外在住の同奨励金受領者は10人以上になる。
SECの金融案件の審理にかかわるアンディ・リックマン弁護士の話では、中国の医薬品販売業ではバックマージンが横行するため、米国で上場し、中国で不正を働く米国医薬品メーカーについて密告する中国人が増えている。
SECの公表資料によると、2017年度の中国在住の告発者は39人で、前の財政年度より4人増えた。香港の同人数は2016年度の1人から2017年度の23人に急増。前出のリックマン弁護士は、一部の中国大陸の人は身の安全を恐れるため、香港経由で告発してくる、とその裏事情を明かした。
ドッド=フランク法が2010年に施行して以来、SECが個人の告発により追徴した企業の違法収入は7億ドルを超え、罰金は10億ドル以上、拠出した奨励金は計1.79億ドル。
今年7月、JPモルガン・チェース銀行の案件で2人の告発者は合計6100万ドルの最高額奨励金を受け取った。2014年、米国外在住の告発者1人は3000万ドルを超える奨励金を手にした。
オーストラリアのメディアによると、同国鉱業大手のBHP Billitonは、アジアやアフリカ諸国の鉱業許可を管轄する政府官僚を中国旅行に招待したことを理由に、2015年にSECから2500万ドルの罰金を課せられた。この案件で内部告発者に支払われた奨励金は375万ドル。
(翻訳編集・叶清)
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