中国政府は、国内でフェイスブックの閲覧を禁止する一方、国外ではプロパガンダのためフェイスブックをフル活用している。
ユーザー数20億人を誇る、世界最大のソーシャルメディア(SNS)に関して、中国政府は「欧米諸国が中国の政権を転覆させるための道具」として、Youtubeやツイッター同様、ファイアウォールでアクセスを禁止している。
一方、ニューヨーク・タイムズ紙8日の報道は、匿名消息筋からの情報として、中国最大手国営メデイアの中央電視台(CCTV)や新華社通信などが、3ヶ月ごとに総額数十万ドルを投じて、フェイスブック上で中国共産党のイメージ・政策などを宣伝し、欧米メディアと肩を並べる報道機関を目指していると伝えた。
ニューヨーク大学の訪問学者(一時在籍の研究者)、中国問題専門家の滕彪氏は大紀元の取材で、中国政府の対外プロパガンダの実態に触れた。
「ここ数年、全世界の主要メディア、大学、政策研究所(シンクタンク)などへの影響を強めることで、共産党のイデオロギーを海外で浸透させようとしている」
「また、文明国家の人々が想像できない手段を使う。例えば、『五毛党』は中国国内のみならず、英語圏のインターネットでも大挙進出して世界の世論を誘導しようとしている」
五毛党(ウーマオタン)とは、中国共産党が抱えているインターネット書き込み集団のことだ。その規模は1000万人超とも言われ、仕事は共産党に有利な書き込みをする、または共産党を批判する人を、集団で攻撃する。書き込み1件当たり人民元5毛が支給されることから、「五毛党」という蔑称がつけられた。
ニューヨーク・タイムズ紙は、中国政府が米国のイメージダウンをはかる、宣伝の実例をあげた。新華社が放送した、トランプ米大統領及び米国への見方を問う、中国の街頭アンケートでは、児童までもが「米中関係への認識」を聞かれて米国批判をはじめた。
オーストラリアでこのほど、中国の国際影響力を露呈する事が起きた。中国政府が豪州の政治家、大学、民間団体を、水面下で影響する実態をつづった暴露本、チャールズ・スタート大学の研究者、クライブ・ハミルトン氏の著書「Silent Invasion(静かな侵入)」が、出版直前に先送りになった。同氏は出版社から、中国政府からの圧力を恐れているとの説明を受けたと話し、「このことを見過ごすなら、今後豪州で、中国政府とその利益のために動く人々を、批判できなくなる」と懸念を示した。
滕彪氏は、中国政府が国際社会で、プロパガンダを展開する狙いは「世界を支配すること」と指摘した。
(翻訳編集・叶清)
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