米国の中国問題専門家は、中国人民軍は2020年までに台湾侵攻の綿密な計画を立てていると、最近発表した著書で明かした。いっぽうで、もし侵攻すれば台湾の周辺国からの応酬が想定され、中国共産党にとって政権崩壊につながりかねない「自殺行為」となりうるため、実際に侵攻する可能性は低いと見ている。
ワシントン拠点のシンクタンク「プロジェクト2049研究所(Project 2049 Institute)」のイアン・イーストン(Ian Easton)氏は最近、『中国侵略の脅威(The Chinese Invasion Threat)』を発表。大紀元は同氏を3日、取材した。
中国人民軍は好戦的に「台湾進攻に備える」姿勢
台湾の国防白書や、中国共産党の軍事情報を分析したイーストン氏によると、中国側は好戦的に「将来の台湾侵攻に備える」との姿勢がみられるという。
中国当局は1980年代以降、台湾を射程圏内に約1000発の弾道ミサイルと誘導ミサイルを配備している。
また、イーストン氏の軍事資料の分析では、中国軍が台湾に侵攻する場合、大量のミサイルを発射し、水陸両用部隊を上陸させ、約40万人規模の兵力を投入するという。
台湾側も、常に中国軍からの侵攻を警戒している。毎年、中国軍の侵攻を想定した陸海空軍合同の大規模な軍事演習を行っている。蔡英文総統も視察した今年5月の年次演習には約3900人が参加した。
台湾侵攻で核戦争のリスク
しかし、イーストン氏は実際に台湾を侵攻する可能性は低いと見ている。もし、台湾との間で開戦となれば、中国は米軍や米同盟国から攻撃を受けるとみられる。
現在、一部の専門家は、もし中台米の間での軍事衝突が起きれば、核戦争に発展する可能性があるとみている。イーストン氏は「可能性は低い。中国当局が政権崩壊リスクを冒してまで核戦争を仕掛けたいなら、話は別だが」と述べた。
「台湾海峡での有事を避ける唯一の方法は、中国当局が台湾への武力行使を放棄すると同時に、台湾は一つの民主国家であるという事実を受け入れることしかない」
「中国当局が一方的に台湾海峡で台湾を攻撃すれば、台湾だけではなく米国、その同盟国であるカナダ、英国、フランス、日本やオーストラリアなど、すべての民主主義国家との開戦を意味する」
イーストン氏は新書を通じて、台湾侵攻は中国当局にとって政権崩壊につながる自殺行為であるとの見方を示した。
もしも中台戦争勃発の際、米国はどう動くのか
万が一、中国当局が台湾侵攻を実施した場合、米国政府はどう動くのか。イーストン氏は「台湾側へ防衛に入るだろう」と述べた。
「中台開戦の1カ月から2カ月前に、米諜報機関は中国の動きをとらえるだろう。米政府は台湾政府に武器、軍設備、物資などを提供し、情報機関のエージェントを派遣する。米国は、台湾が侵攻される前に、中国当局をけん制することができる」
それでも、中国当局が台湾に武力侵攻を続けようとするなら「100%とは言えないが、90%の確信で米国が必ず台湾を防衛する」とした。米国の『台湾関係法』は、事実上の米国と台湾との軍事同盟条約だ。
ただ、米国が台湾に対して後方支援に留まるのか、あるいは米軍が戦闘に参加するのかについては「米大統領が決めることだ」と述べた。
米台関係は今後、さらに強化
中国の台湾侵攻を阻止するために、米政府は今後、台湾と政治・経済・軍事の3つの面で協力を強化していく必要がある、とイーストン氏は提案する。
「政治面では、トランプ大統領が昨年12月就任前、台湾の蔡英文総統と電話会談した。中国当局へのけん制としては、非常にインパクトがあった。米台政治面での協力強化の始めの一歩だ」
経済面では、台湾経済が中国市場への依存から脱却させるために、米国と台湾は自由貿易協定の締結することを挙げた。
軍事協力においては、米国が台湾に最先端武器を供給するだけではなく、台湾軍の潜水艦や軍用無人機開発などで技術協力ができるとした。
(記者・秦越、翻訳編集・張哲)
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