米国インディアナ州にあるパデュー大学中国宗教・社会研究センターの楊鳳崗教授が10年前に行った社会調査では、約85%の共産党員が宗教を信仰をしていることが分かった。無神論を体制のイデオロギーにする中国共産党は、党員に信仰を持つことを許していない。なぜ多くの党員が密かに信仰を持っているのかについて、大紀元はこのほど楊教授に話を聞いた。
2007年中国調査会社の「中国零点調査諮訊公司」と楊教授は、中国人の信仰状況を調べるために、共同で『中国人精神生活調査(CSLS)』を行った。同調査では、85%の中国人は宗教を信仰しているとの結果を得た。
中国共産党高層は党員に対して、宗教を信仰してはいけないと要求している。しかし、楊教授は「大半の党員はそれを実践できない」と大紀元の取材に対して答えた。
「社会の開放とともに、中国人は近年海外からの情報を多く手にしている。なかには超常的な現象、信仰についての情報もあるだろう。人々は、大きな社会的変化または人生で苦難や試練に遭った時、自然に超自然的な力、あるいは神の存在に頼っている」。
楊教授は数年前、山西省で社会調査を行ったところ、同行した市政府幹部の行動に驚いたという。「幹部は地元のお寺に入った際、突然、仏像の前に跪いてお参りを始め、賽銭箱に数百元(数千円)の現金を入れた」。
この幹部の話では、仕事で困難な息を迎えたときに、五台山(中国仏教四大名山の一つ)にお参りに行ったところ、昇進が叶った。「お礼参りしたかったが、仕事が忙しくて行けなかった。今日はここで仏様に出会えたので、お礼をしようと思った」と語ったという。
「この幹部のように、実際に多数の官僚や幹部が信仰を持っているが、しかし普段それを表に出す勇気はない」と楊教授が指摘する。また、共産党員の大半は党員になっても信仰を捨てることはないため、心の中で常に葛藤しているという。
大紀元は2004年に『共産党についての九つの評論』を発表してから、中国国内外では約2億8000万人の人が共産党、または関連組織からの脱退を宣言した。
仮名で共産党からの脱退を宣言した人の多さに、楊教授は中国国内で実名で脱退を表明すれば、この人の政治生命の終わり、あるいは公的地位の放棄を意味すると分析した。
「中国共産党は多くの政治資源を独占した。このため、党員は公に党組織からの離脱を宣言する勇気がない。しかし心の中で、あるいはイデオロギー上においては、すでに脱退している」と指摘した。
(記者・秦越、翻訳編集・張哲)
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