ドイツで人命救助の議論が巻き起こっている。先月、ヴェストファーレン州エッセン市で、高齢の男性が銀行ATMコーナーで突然、卒倒。その後の利用者4人は、意識のない男性を救助しなかった。悲運なことに、男性は死亡。救助活動を怠った4人は、同国法律に基づき最高1年の懲役刑が下る可能性がある。1日、ドイチェ・ヴェレ(Deutsch Welle)が報じた。
報道によると、銀行ATMコーナーを利用していた高齢の男性は、体調不良により卒倒し、意識不明になった。その後、コーナーに入った4人はいずれも救助しようとせず、倒れていた男性を避けて通ったり、またいだりした。警察は、監視カメラの映像とATM利用データに基づいて、4人の男女の捜査を進めている。
5人目の利用者により救急車が呼ばれ、男性は病院へ運ばれたものの、まもなく死亡が確認されたという。
「死にかけている老人が目の前にいるのに。どれだけ感覚が麻痺しているのか?」「誰もが携帯電話を持っているでしょう。ボタンを押すだけのことじゃないの」「倒れているのが、もし自分の父親やお祖父さんだったら…と考えないのか」とツイッターで4人の行動を非難するコメントが飛び交っている。
ドイツ刑法第323条では「事故または緊急状況において、救助を施すことが可能である者が救助を施さないことに対して、1年以下の禁錮または罰金刑が科される」と定められていることから、4人は刑罰を受ける可能性が高いとみられている。同様の人命救助の法律は「良きサマリア人の法」と呼ばれ、フランス、スペイン、ポルトガルなど他28カ国の法に記されている。
(翻訳編集・豊山)
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