【大紀元日本11月13日】上海当局が積立基金の融資基準を緩和した後も、不動産市場の取引量は上昇せず、かえって50%近く急落した。価格の下落が続くなか、不動産在庫は積み上がっており、中国の不動産市場は衰退の一途をたどっている。
裏目に出た上海の不動産救済策 取引量が急落
上海は4日、融資基準を緩和し、住宅購入用の積立基金を利用する住宅購入者を対象に1軒目の住宅ローンが完済後、2軒目の住宅ローンを組むことを認めると公表した。しかし、上海での不動産取引量は上昇するどころか、大幅な下落を見せた。
上海の不動産仲介大手・中原不動産の研究コンサルティング部の統計データによると、上海では今月3日から9日にかけて、新規物件の成約面積は17.2万平方メートルで、前月比48.7%減。中古物件の成約件数は3918件で、前月比31.8%減となった。
それに対し、中原不動産の研究コンサルティング部の総監・宋会雍氏は、「上海の住宅融資政策は市場の期待にはほど遠い。中国人民銀行(中央銀行)が住宅ローン規制を緩和した後、消費者らは一時的に銀行が基準金利から最大70%割引の利下げを提供でき、しかも2軒目の住宅購入金利優遇措置はすべての商業不動産にも適用すると期待していた。しかし、上海の住宅融資政策は2軒目の普通住宅に制限されている。市場の期待は急激に変化した」との見解を示した。
中国の不動産情報サービス会社、克而瑞(CRIC)の総監・薛建雄氏は、上海不動産市場の取引量急落の情勢によって、不動産市場はさらなる下落周期に入り込むと推測した。
大手不動産4社、在庫が高止まり
実際、不動産不況は上海だけに限らず、中国各地で不動産市場の低迷が深刻化しており、不動産在庫はますます増大している。
中国の金融経済情報ベンダー「Wind資訊」の統計データによると、現在、上場の不動産企業142社の在庫残高は2.3兆億元(約43兆円)に達し、前年同期比で21%の上昇となった。
在庫状況のランキングについて、万科、保利、金地と招商の不動産大手4社がトップ4位にランクイン。それぞれの在庫額は3512.35億元(約6.6兆円)、2750.22億元(約5.2兆円)、943.5億元(約1.8兆円)と862.24億元(約1.6兆円)だった。
中原不動産の研究コンサルティング部のチーフアナリスト・張大偉氏によると、現状からみれば、最大手の万科と恒大を除き、90%以上の不動産会社は年度の売上目標を達成するのは難しい。大多数の不動産会社は巨大な在庫削減の圧力にさらされているという。
市場の下降傾向が顕著になっており、不動産会社は年内で年度目標を達成するのがかなり難しいとの見方が強まっている。多くの業界専門家は、現在の状況に応じて、在庫削減と取引量の増大を目指す場合、必然的に価格下落をもたらすとの共通の認識を持っている。
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