青海地震から1年 追悼行事禁止令 封じ込められる被災者の苦悩

2011/04/16
更新: 2011/04/16

【大紀元日本4月16日】4月14日、死者2698人、行方不明者270人を出した中国青海地震から1年が経過した。チベット人にとって、一周忌は死者の霊を浄土へ導く重要な法事が行われる日であるが、被災地の青海省玉樹チベット族自治州では先日、法事が禁止された。被災地の状況を記録したドキュメンタリー映画『災難の中での希望』のDVD数千枚も中国当局に押収されていた。そして、1年経った今、多くのチベット人は、土地を強制収用され、苦しい生活を強いられている。

法事の禁止

ダライ・ラマ法王のオーストラリア事務所の代表ダドン・サプテン(Dadon Thupten)氏は、本紙の取材に応えて詳細を語った。「我々チベット人の伝統では、一周忌は非常に重要。霊を浄土へ導くために盛大な法事を行わなければならない。しかし、中国当局は禁止令を出した。地震死亡者の遺族が僧侶を呼んで被災地でお経をあげてもらうことも禁じられている」

一方、中国の政府系メディアの報道によると、青海省全域は地震発生時刻の午前7時46分に、3分間の黙祷をささげた。実際にはチベット人被災者を苦しめながら、表面では黙祷をささげる矛盾した行為について、サプテン氏は、中国当局の詐欺的本性の表れとして非難した。

ドキュメンタリーDVD押収

サプテン氏によると、地震発生直後から、周辺地区の2万人以上のチベット人僧侶が救援に駆けつけた。これらの僧侶の数人が昨年8月から4カ月間、被災者などへの取材に基づいて、自費でドキュメンタリー映画『災難の中での希望』を制作した。震災1周年の節目に、映画のDVDを被災者に配布する予定だった。

「追悼の意を表しながら、反省をも表現している。そして、生存者を慰め、死者の亡霊を安心させる」と同氏は説明している。しかし、数千枚のDVDは配布される前に中国当局に押収されたという。

土地の強制収用

震源地に近い結古鎮の漢族とチベット族の被災者数人に対して本紙が電話取材したところ、震災発生から1年が経ったが、現地での復興建設はほとんど行われていない。大多数の被災者はいまだにテント生活を送っている。当局は今月から復興建設を始めるとしている。

サプテン氏は現地からの情報として、次のように証言した。

地震発生前、現地のチベット人は一世帯あたり約数百平米の土地を保有しており、家畜や農作物を育て、自給自足の生活を送っていた。震災後、中国当局は被災地再建の理由で土地を押収し、被災者に現居住地からの移転を命じた。平均1世帯8人の家族に用意されるのは約60~80平米の住宅である。その一方で、当局は現地に大量の漢民族を移住させている。チベット暦の旧正月となる今年3月には、現地の漢民族が経営する店で米や果物などの食品価格が3倍に跳ね上がり、「ほとんどのチベット人は買えない」という。

このような現状を、チベット人被災者は当局による土地の略奪と受け止めている。今月1日には、約3千人が参加する抗議活動が行われ、当局は武装警官を出動させた。10人以上の参加者が逮捕され行方不明になっており、その中には70代の男性2人が含まれているという。

一方、同地震による死者・行方不明者の数について、中国当局メディアはそれぞれ2698人と270人と公表しているが、民間の統計情報では、死者は1万人以上となっている。

(記者・方暁、翻訳編集・叶子)