ロシア:天然ガス、新しい外交武器に

2005/12/29
更新: 2005/12/29

【大紀元日本12月29日】天然ガスを取り扱うロシア国営のガスプロ社は今冬、ウクライナに対して、天然ガスの提供で5倍も値上げを要求している。今回の値上げは、2004年ウクライナの大統領選挙に、ロシアが支持した候補者は、オレンジ革命を支持するユーシェンコに負けたことへの復讐と見られている。エネルギー供給はすでに、ロシアが喪失した軍事的優勢に取って代わる新しい外交戦略となっている模様。ニューヨーク・タイムス紙24日の報道がその詳細を伝えた。

ロシアはウクライナに対して、これまで千立方メートル当り50米ドルから一挙に220強米ドルに値上げる予定。世界の3分の1の天然ガスを有するガスプロ社はロシアにとって十分に威力のある武器となる。ガスプロ社が保有している石油ではイラクの保有量を上回っており、天然ガスに関してもイラクと相当量を有していることはすでに実証されている。さらに、ガスプロ社は石油輸送管の建設により、保有するエネルギーはヨーロッパへの供給のみならず、将来的にはアジア諸国への供給も可能となる。

またロシア・プーチン大統領は、外資を誘致しガスプロ社を西側自由市場へ参入させ、民営化を試みている。民営化により、同社の体質を大幅に改善させ、株価を上昇させ取引自由化の世界最大エネルギー株式会社にする企みであろう。

しかし、専門家によれば、ロシア政府はガスプロ社を自由化させることは、単なる自由化のためではなく、大量の外国資金の取得、他国を制御すること、ロシアの政府要人らが同社の株による利益の取得などのことが狙いという。今回のウクライナへの天然ガスの値上げはウクライナの重工業発展を阻み、ウクライナ・ユーシェンコ大統領政権が大きな打撃を被る目的にあると見られている。大統領は昨年の大統領選で、ロシア政府が全力支持した候補者を打ち破り当選した。