中国 今年も登場 当局が嫌がる仮装の数々

それでも仮装する 中国ハロウィーン

2026/11/02
更新: 2026/11/02

去年も仮装した人たちが警察に連行された。こんなタブーすれすれの衣装で街を歩けば、今度は自分が捕まるかもしれない。

かつて中国最大規模の街頭仮装イベントとして知られた上海のハロウィーン。取り締まりが年々厳しくなるなか、「今年は例年より静かだった」と話す市民もいる。それでも、上海の一部地域や杭州、合肥、青島などには大勢の若者が集まった。

 

2026年のハロウィーンで大勢の人が詰めかけた中国・浙江省杭州市の大型商業施設「湖浜銀泰in77」周辺。(取材協力者提供)

 

内モンゴル自治区包頭市では、若者2人がコロナ禍の防護服姿でPCR検査を呼びかけ、当時の厳しい防疫政策を皮肉った。西安でも同様の仮装が登場したが、複数の警察官に囲まれ、防護服を脱ぐよう命じられる様子が撮影された。

 

中国・西安で、コロナ禍の防護服姿をした仮装者が警察に制止され、その場で防護服を脱ぐ様子。(SNS動画のスクリーンショットを合成)

 

ほかにも、場所は不明だが、中国の求人サイト「BOSS直聘(ボスが直接採用)」を「BOSS直騙(ボスが直接だます)」ともじり、求人詐欺を皮肉る仮装も登場した。福州では自由の女神に扮した人物が現れ、多くの市民が足を止めて撮影した。

 

2026年の中国のハロウィーン。内モンゴル自治区包頭市では、若者2人がコロナ禍の防護服姿でPCR検査を呼びかける様子を再現(左)。右は求人サイト「BOSS直聘」を「BOSS直騙(ボスが直接だます)」ともじり、求人詐欺を皮肉る仮装。(SNS投稿画像・動画より)

 

一方、上海では、仮装した女性2人が警察に連行されそうになると、周囲の若者たちが警察車両を囲み、「放せ! 放せ!」と声を上げて抗議する場面もあった。

杭州ではウルトラマン姿の人が警察に連れて行かれ、天津ではトランプ米大統領に扮した男性が職務質問を受けた。

 

中国・杭州で警察官に連れて行かれるウルトラマン姿の人物(左)。天津ではトランプ米大統領に扮した男性が警察の職務質問を受けた(右)。(SNS動画のスクリーンショットを合成)

 

こうした仮装による社会風刺が大きな注目を集めたのは、ゼロコロナ政策の終了後、初めてのハロウィーンとなった2023年だった。若者たちは白紙や監視カメラ、コロナ検査員、暴落する株価などに扮し、社会への不満をユーモアに変えた。以降、当局は警戒を強め、取り締まりを続けている。

一方、中国本土に比べ、まだ一定の自由が残る香港では、さらに大胆な風刺が見られた。繁華街・蘭桂坊では、ファーウェイ幹部の孟晩舟氏が中国帰国時に着ていた赤いワンピースを再現し、足首に電子足輪まで付けた仮装者が登場。「祖国よ、私は帰ってきた!」と、孟氏が帰国時に発した言葉まで再現した。

同じく香港では、ファーウェイ幹部の余承東氏を模し、魚の頭をかぶって「界」の文字を掲げた人物も登場。事故や安全性への懸念が指摘されている同社系の電気自動車「問界(AITO)」を皮肉った。

 

2026年の香港のハロウィーン。ファーウェイ幹部の孟晩舟氏が中国帰国時に着ていた赤いワンピースを再現し、電子足輪まで付けた仮装者(左)。右は、事故や安全性への懸念が指摘されているファーウェイ系EV「問界(AITO)」を皮肉り、魚の頭をかぶって「界」の文字を掲げた仮装者。(SNS動画のスクリーンショットを合成)

 

海外では、さらに大胆な抗議が繰り広げられた。

米ニューヨークでは、華人らが習近平を模した姿で登場し、習の顔写真を遺影風に加工して貼り付けた棺桶を担いで行進。写真には大きな「×」印が付けられていた。ロサンゼルスでも、中国共産党への抗議を掲げた人々がハロウィーンの行進に参加した。

 

米ニューヨークのハロウィーンで、習近平や習の棺を模したものを掲げ、中国共産党に抗議する人々。(SNS動画のスクリーンショットを合成)
米ロサンゼルスのハロウィーンで、中国共産党への抗議を訴える横断幕を掲げた参加者たち。(SNS動画より)

 

海外のような大胆な抗議は、中国国内では難しい。それでも若者たちは、逮捕される危険を承知で仮装を続けている。

取り締まりは年々厳しくなり、かつてのにぎわいは失われつつある。それでも、若者たちは街に出る。そんな小さな意地が、今年のハロウィーンにも息づいていた。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!