防衛省が2027年度予算の概算要求で、水中発射型の極超音速ミサイルの開発に着手する方針であることが分かった。相手から攻撃を受けにくい水中から長射程ミサイルを発射できるようにし、反撃能力の発射手段を多様化する狙いがある。
あわせて、無人潜水艇(UUV)に長射程ミサイルの発射機能を持たせる研究も進める。さらに、民生技術を活用し、低コストで短期間に大量生産できる長距離飛行型の攻撃用ドローンの開発も盛り込む。
これらの事業は、具体的な金額を示さない「事項要求」とする方針だ。
2027年度の概算要求額は、現行の防衛力整備計画に基づき約8兆9千億円となる見通しだ。金額を示さない事項要求を含む事業は150以上にのぼるとされ、年末の予算編成でさらに上積みされれば、防衛費は10兆円規模に膨らむと指摘されている。
政府が2022年に閣議決定した防衛力整備計画では、2023~27年度の5年間に約43兆円を投じ、防衛力を抜本的に強化する方針を掲げている。2027年度は現行計画の最終年度にあたる。
極超音速誘導弾の研究を推進
防衛装備庁は現在、スクラムジェットエンジンを使って音速の5倍以上で飛行する極超音速ミサイルの研究を進めている。
研究は2023年度に始まり、三菱重工が担当している。2031年度までの事業完了を目指しており、防衛省は早期取得に向けた取り組みも進めている。
現在は地上発射型の取得が進められている。2027年度概算要求では、これとは水中発射型別に水中発射型の極超音速ミサイルの開発に着手し、水中から長射程兵器を運用する能力の強化を図る。
水中から発射できれば、相手側が発射地点を把握しにくくなり、発射手段の生存性を高められる利点がある。
潜水艦用VLSの研究も進む
防衛装備庁は別の枠組みで、潜水艦に搭載する水中発射型の垂直発射装置(VLS)の研究も進めている。
防衛装備庁は2025年9月26日、水中発射型垂直発射装置の研究試作について、108億8941万7000円で川崎重工と契約した。
研究は2025年度から2029年度まで行われ、潜水艦から長射程誘導弾を発射するためのVLS技術の確立を目指す。
海上自衛隊の現行潜水艦にはVLSは搭載されていない。実用化されれば、潜水艦から運用できる長射程兵器の選択肢や搭載能力が広がることになる。
魚雷発射管から撃つミサイルは量産段階
一方、潜水艦の魚雷発射管から発射する「潜水艦発射型誘導弾」は、すでに量産段階に入っている。
防衛省は2025年、潜水艦発射型誘導弾と12式地対艦誘導弾能力向上型(艦発型)の量産について、三菱重工と契約を結んだ。
潜水艦発射型誘導弾は、既存の魚雷発射管から発射する長射程ミサイルで、潜水艦の高い隠密性を生かして遠方の艦艇などに対処することを想定している。
水中発射型の極超音速ミサイル、無人潜水艇への長射程ミサイル発射機能、潜水艦用VLS、魚雷発射管から発射する誘導弾と、防衛省は水中からの発射手段を多様化している。
一連の取り組みは、2022年に決定された防衛力整備計画に基づくスタンド・オフ防衛能力の強化の一環だ。実用化までには今後も研究・開発が必要となるが、防衛省は長射程兵器の発射手段を地上、艦艇、航空機、水中へと広げる方針を進めている。
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