ドローンの音を聞いたら「10秒」が勝負 ウクライナの生存ガイドが示す避難法

2026/08/18
更新: 2026/08/18

ウクライナでは、上空からドローンの「ブーン」という音が聞こえた時、避難に残された時間はわずか10秒ほどしかないことがある。専門家は、プロペラ音を聞いたら、まず素早く身を隠す場所を探すべきだと指摘する。この数秒が、攻撃を避けるうえで重要になる。立ち止まって空を見上げ、ドローンを探そうとすれば、かえって避難のチャンスを失いかねない。

ウクライナ最大規模の、戦地での民間人向けサバイバル訓練を行う団体「2402財団」は、ドローン攻撃から身を守るためのガイドを作成した。一般市民や記者を対象に、服装や移動方法、音からドローンの接近を察知する方法などを紹介している。

ガイドによると、「キルゾーン」と呼ばれる危険地域では、周囲の景色になじむ目立たない色の服を着用し、外出もできるだけ控えるべきだという。迷彩服は軍人と誤認される恐れがあるため避ける。

曇りや低い雲、強風などの天候はドローンの飛行に不利。やむを得ず外出する場合は、音を立てず、遮蔽物や物陰を選んで移動し、発見される可能性を下げることが重要だとしている。

前線では、死傷者の60%以上を小型ドローンによる攻撃が占めるという。その多くは市販の民生用ドローンを改造し、攻撃用に転用したものだ。ウクライナ軍の統計によると、2024年7月以降、ロシア軍のドローン攻撃で民間人200人以上が死亡し、2千人が負傷した。

ウクライナ製の迎撃ドローン「スティング」(Sting)(Nikoletta Stoyanova/Getty Images)

ドローン音を聞いたら「10秒」が勝負

軍用ドローン操縦士を養成するクルーク軍事パイロット訓練センターの専門家によると、ドローン攻撃には、砲弾や銃弾、ミサイルと比べて避難に有利な点がある。着弾や攻撃を受ける前に、その接近を音で察知できるためだ。

例えば、一人称視点(FPV)ドローンやDJIの「Mavic」シリーズは、約150メートル離れていても音が聞こえるという。

一方、「シャヘド」などの大型長距離攻撃ドローンは、飛行中に芝刈り機のような音を発し、数百メートル先からでも接近に気づくことができる。

専門家によると、ドローンの音を聞いてから反応できる時間は約10秒。これは、操縦者が攻撃を仕掛けるまでにかかる時間だ。

ドローンの音を聞くと、多くの人は本能的にその場で立ち止まり、上空を見上げて位置を確かめようとする。しかし、これは命に関わる危険な行動になり得る。

すぐにその場から散開し、遮蔽物を探す必要がある。頑丈な壁の後ろや構造のしっかりした建物、コンクリート構造物の下などに身を隠す。溝や地面のくぼみであっても、開けた場所にとどまるより安全だという。

同センターの専門家ミキタ・ガブリレンコ氏は、林の中でドローンに遭遇した場合、木の下に隠れることが最善とはいえないものの、開けた場所にいるよりは安全だと説明する。

また、走って逃げる際は左右に方向を変え、7~10メートルほど進むごとに進行方向を変える方法が推奨されている。模擬訓練では有効だった。

ロシア・ウクライナ戦争中、ドローンを使ってロシア軍陣地を偵察するウクライナ兵(Aris Messinis/AFP)(Aris Messinis / AFP)

車は人より狙われやすい

ロシア軍のドローン部隊「ルビコン」の統計によると、ドローンの攻撃対象は人より車両の方が多く、自動車への攻撃が14%だったのに対し、人員への攻撃は3.5%だった。

ロシア、ウクライナ双方が兵員や物資の輸送に車両を多用しているため、「キルゾーン」では民間車両を含め、あらゆる車両が攻撃対象になり得る。

このためウクライナ政府も、車での外出をできるだけ控え、移動する際には走行ルートを頻繁に変え、ドローンに行動を把握されにくくするよう呼びかけている。

また、攻撃を受けた際にすぐ車外へ逃げられるよう、シートベルトを着用しないことも勧めている。

ただし、すべてのドローンを音だけで察知できるわけではない。

一部の固定翼ドローンは降下時にエンジンを停止して滑空するため、ほとんど音を出さない。また、「待ち伏せ型ドローン」と呼ばれるタイプは、あらかじめ移動経路付近で待機し、標的が攻撃範囲に入ってから作動するため、事前に発見することが難しい。

自爆型ドローン、多くの場合はFPVドローンに直前になって気づいた場合、身を隠すまでに残された時間はわずか3秒ほどだという。

ドローンの爆発物が地面に着弾した場合は、すぐに伏せ、腕で頭部を覆って身を守ることが重要だ。

曽子衡