「ひどすぎる」「史上最悪レベル」と酷評された映画が、その評判のおかげで売れ始めた。
中国のアニメ映画「牛来」は、公開から10日間の観客が300人未満、興行収入も7711元(約18万円)。ほとんど見向きもされていなかった。
ところが、粗い3D映像や不自然な動き、荒唐無稽なストーリーがネットで話題になると、「そこまでひどいなら逆に見たい」という人が映画館へ向かい始めた。
「1時間見て、1時間笑った」
「見たら80分(上映時間86分)後悔する。でも見なければ一生後悔する」
こうした酷評とも宣伝ともつかない「口コミ」がさらに客を呼び、興行収入は一気に80万元(約1890万円)を突破した。
制作の裏側も異例だ。中国メディアによると、主な制作メンバーは監督とその母親の2人。制作会社も、もともとは内装工事を主な事業としていたという。
配給会社の関係者は監督の知人だった。いざ完成した映画を見てみると、さすがに「これは公開しないほうがいい」と監督を説得した。それでも本人は「どうしても上映したい」と譲らず、最終的に公開を手伝うことになったそうだ。
つまりこの映画、配給側に止められても、監督がどうしても世に出したかった一本なのだ。
面白いからではなく、「どれだけひどいのか、自分の目で確かめたい」で客が集まる。誰にも見られなかった映画が、酷評をきっかけにヒットする。
SNS時代ならではの、なんとも奇妙な逆転劇である。
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