中国で出国規制拡大か AI人材や金融・公職者の親族も対象に

2026/09/30
更新: 2026/09/30

中国共産党(中共)による出国規制が、さらに広がっているとの情報が出ている。対象はAIや半導体など重要分野の人材に加え、金融関係者、公職者、企業・事業体の管理職の親族にまで及んでいる。最近では、関係者が空港などの出国審査で足止めされたとの報告もある。なぜ規制対象は拡大しているのか。本人だけでなく親族の出国まで制限する法的根拠はあるのか。また、こうした措置はどのような影響をもたらすのか。

ブルームバーグは9月28日、情報筋の話として、中共が一部の民間企業で働くトップクラスのAI人材に対する出国制限を強化していると報じた。対象には、著名なスタートアップ企業の創業者や、戦略的に重要な企業の責任者らが含まれる。一部のAI・半導体企業の幹部の配偶者や子どもが短期間の海外渡航をする場合でも、事前に当局の許可を得る必要があるという。

報道によると、当局には、重要技術や情報の米国への流出を防ぐ狙いがある。ただ、対象者すべての家族が同様の制限を受けているかどうかは明らかになっていない。

ブルームバーグは5月にも、中共がアリババやDeepSeekなどの民間企業に所属する一部の有力AI人材について、海外渡航を制限し始めたと報じていた。

一方、大紀元は9月25日、金融業界の関係者の話として、出国制限の対象となっている一部の公職者や企業の管理職、金融・テクノロジー分野の重要人物について、最近では直系親族だけでなく傍系親族まで出国時に足止めされる事例が出ていると伝えた。これまでは、本人が海外へ出られない場合でも、親族に海外の預金や不動産に関する手続きを任せることができた。報道では、交通銀行の中間管理職の妹が北京の空港で出国を拒否された事例も紹介されている。

米サウスカロライナ大学エイキン校ビジネススクールの謝田教授は、AI人材と金融・公職関係者では、規制の狙いが異なるとみている。

「AI分野では、中共は人材が米国へ渡り、米国の力を強めることを望んでいない。また、中国の強みや弱点に関する情報が米国側へ渡ることも警戒している。本人が家族と一緒に出国すれば、そのまま戻ってこないことも考えられる。家族を国内にとどめることで、本人の出国も抑えられる。金融機関や企業の幹部については、不動産関連のリスクが非常に大きく、不良債権や焦げ付き債権も多い。資金移転や資本流出もあり、中国の金融部門が抱えるリスクは特に高まっている。中共としては、こうした幹部が逃亡することを当然警戒する」

台湾国防安全研究院の沈明室研究員は、中共が家族まで規制対象に含めるのは、親族関係を利用して本人を引き留めるためだとみている。

「そもそも家族がどこまで含まれるのか。両親なのか、妻または夫、子ども含まれるのか。中共政権には一定の基準がない。本人に最も影響を与える人物、あるいは本人が最も大切にしている人物を利用し、出国を思いとどまらせる手段にする」

沈氏はまた、「誤って対象に含めても、取り逃がすな」という姿勢が、現場で規制範囲を広げる要因になり得ると指摘した。「もし1人でも逃げれば、最終的に担当者が責任を負わなければならない。そのため、中共は政策を執行する際、適用範囲を広く取る傾向がある」と述べた。

また、最近不動産富豪の潘石屹が海外へ出た後、任志強の習近平を批判する書簡に言及したことを挙げ、「これは執行側の姿勢に影響している。今後さらに厳しくなり、法律に明記されていなくても、拡大解釈や政治的な解釈が行われるだろう」と語った。

新たな出入国管理規定は9月15日に施行された。輸出管理や技術の輸出入管理に関する規定に違反し、国家の産業や技術安全を損なう恐れがある人物を、出国禁止の対象に加えている。

ただ、新規定は親族の出国禁止を明記していない。実際の事例がどの法令に基づいているのかは、現時点では分かっていない。このため、出国規制がどこまで及ぶのか、注目されている。

謝田氏は、「法的根拠はない。しかし実際には、中共なら行うだろう。規制の境界はどこなのか。境界などない。九族にまで連座させるというやり方に、そもそも境界などあるのか。本人の資金を海外へ移す手助けをする可能性がある人や、利益関係を持つ人であれば、出国を阻止されるだろう」と批判した。

一方、規制を強め続ければ、逆効果を招く恐れもある。

沈明室氏は「上に政策があれば、下には対抗策がある。国外へ出たい人は、あらゆる方法を考えるだろう。それでも出られない人は、国内に残ることを強いられる。例えば、親族関係を解消すると宣言したり、離婚したりする人が出てくるかもしれない。また、国内にとどめられたとしても、本人が進んで従来の仕事や業務を続けるとは限らない」と考えている。

謝氏はAI人材について、中共が多額の資金を投入しており、中国国内にも一定の発展機会があるため、現段階では国外へ出ようとする人が必ずしも多いとは限らないとみている。一方、金融機関や企業の幹部の間では、規制強化によって危機感が高まり、通常とは異なる手段で国外へ出ようとする動きがさらに強まると指摘している。