中国 「どうやって会社に行けと?」台湾人ブロガーも驚き

台風直撃で街は冠水 それでも「休めない」上海

2026/08/12
更新: 2026/08/12

台風13号「ドルフィン」がもたらしたのは、傘ではしのげないほどの暴風雨だった。

10日の上海では朝から激しい雨が降り続き、市内各地で道路の冠水が相次いだ。車やバイクは大きな水しぶきを上げながら進み、人々はふくらはぎほどまで水につかりながら歩く。

ブティックでは入り口に土のうを積み、従業員が店内に入り込んだ水を外へかき出していた。別の店では床まで浸水し、衣服が濡れないよう商品を棚の上へ避難させていた。

空の便も大きく乱れた。上海の浦東、虹橋の両空港では計943便が欠航し、運航能力は約4割低下した。道路は水につかり、空の便は大きく乱れ、一部の地下鉄も運休した。

 

台風13号「ドルフィン」による豪雨で、道路や川沿いが広く冠水した中国・上海。ネットでは、街が水浸しになった様子を「上海が『海上』になった」と皮肉る表現も飛び出した。2026年8月10日(市民撮影動画よりスクリーンショット)

 

それでも、多くの会社員は通常通り出勤した。

政府から一斉休業の発表はなく、交通機関が止まれば、会社員は別の方法を探して職場へ向かわなければならない。

この状況を現地で目の当たりにした台湾人ブロガーは、SNSに動画を投稿。「地下鉄まで止まっているのに、どうやって会社に行けというのか」と首をかしげ、「台湾なら、こんな状況で休みにしなければ大問題になる」と驚きを隠せない様子だった。動画は大きな反響を呼んだ。

中国のSNSでも、「台風でも休めない」会社員たちの不満が噴き出した。

この日(10日)、「ドルフィン出勤」は中国SNS・ウェイボーのトレンド1位になるほど注目を集め、「上海の牛馬は今日も出勤」「道が全部川になっているのに休みの通知がない」など、会社員の悲鳴とも自嘲ともつかない声が殺到した。

なお、中国のネットで「牛馬」とは、牛や馬のようにこき使われる働き手を意味するネット用語である。低賃金でも休めず働き続ける会社員が、自分たちを自嘲して使うことが多く、日本語の「社畜」に近い。

街は水浸しになり、地下鉄まで止まった。それでも会社へ向かわなければならない。台風より怖いのは、「こんな日でも出勤して当然」という空気なのかもしれない。

 

台風13号「ドルフィン」の影響で激しい暴風雨に見舞われ、道路が冠水した中国・上海。街では、停めてあったバイクや自転車が強風で次々と倒れている。2026年8月10日(市民撮影動画よりスクリーンショット)
李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!