またモバイルバッテリーが火を噴いた。
中国では発火事故が相次ぎ、今や珍しいニュースではなくなった。地下鉄や住宅、航空機など、場所を問わず事故が繰り返され、当局が安全対策を打ち出した後も流れは止まっていない。
その最新の事例が、7月24日に東方航空機内で起きた発火事故だ。
蘭州発・貴陽行きの東方航空機は、貴陽龍洞堡空港に着陸して滑走中、乗客の頭上にある荷物棚から突然炎が上がった。
SNSで拡散した映像には、荷物棚の隙間から炎が噴き出し、乗務員が消火器で対応する様子が映っている。
乗客によると、「火事だ」という叫び声が聞こえ、最初は機体が燃えたのかと思ったが、見上げると荷物棚の中から火が出ていたという。
空港消防によると、消防隊が到着した時には乗務員がすでに消火していた。初期調査では、乗客が持ち込んだモバイルバッテリーの自然発火が原因とみられ、幸い負傷者はいなかった。
しかし、中国では同様の事故が後を絶たない。
今年1月には上海西駅のホームで、購入からわずか1か月、しかも中国の安全基準「3C認証」を取得したモバイルバッテリーが、使用も充電もしていない状態で突然発火し、乗客の上着のポケットを焼き抜いた。
その前の2025年11月には、湖南省長沙市の地下鉄3号線で乗客のバッグに入っていたモバイルバッテリーが突然発火。衣服に燃え移って車内は白煙に包まれた。非常時にもかかわらずドアが開かず、乗客が逃げ場を失ってパニックになる様子が拡散され、SNSには「またモバイルバッテリーか」「何度目だ」「いつになったら安全になるのか」と怒りや不安の声が相次いだ。
さらに2025年12月には広州地下鉄1号線で乗客のモバイルバッテリーが発火して衣服に燃え移り、2024年10月には天津発上海行きの旅客機でも、到着後に乗客のバッグの中のモバイルバッテリーが突然発火した。
事故は地下鉄や航空機だけではない。2024年12月には上海の女子学生寮で充電中のモバイルバッテリーが爆発し、机や電子機器が焼損。2024年10月には広東省潮州市の住宅でも充電中のバッテリーが爆発し、室内の一部が大きく壊れる被害が出た。
中国民航当局の統計では、2025年上半期だけで、機内に持ち込まれたモバイルバッテリーによる発火・発煙事故は少なくとも15件確認している。このため中国当局は、3C認証のない製品やリコール対象品などの機内持ち込みを禁止した。しかし、認証品であっても発火事故は止まらず、「規制しても意味がないのではないか」と疑問視する声も広がっている。
日本でも安全対策を強化している。4月から、モバイルバッテリーを預け荷物に入れることを禁止し、持参する場合は機内に持ち込まなければならない。160Wh以下のものを1人2個まで持ち込めるが、頭上の収納棚には入れず、座席ポケットなど手元で保管するよう求められている。機内でモバイルバッテリーを充電したり、スマートフォンなどへ給電したりすることも認めていない。
夏休みを迎え、中国から日本を訪れる旅行客も増える時期だ。旅行や出張で国境を越えて人と一緒に移動する製品だからこそ、この問題を中国だけの出来事と考えることはできない。
事故が相次ぐ現状を踏まえれば、リコール情報や製品の状態を確認し、異常のある製品は使用しないなど、安全への注意が欠かせない。
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