中国 給料未払いは放置、事件報道は削除。

中国 給料未払いを訴えていた作業員 労働局で爆発事件 実刑6年

2026/07/22
更新: 2026/07/22

中国・河北省唐山市で、労働局庁舎内で爆発事件を起こした建設作業員の劉全氏に対し、裁判所は懲役6年の実刑判決を言い渡した。事件の背景には長期間にわたる給料未払い問題があったが、未払い賃金はいまも解決しておらず、事件を報じた記事を相次いで削除している。

中国メディアによると、劉氏親子は建設現場で働いたにもかかわらず、元請け業者は5万6千元(約135万円)の賃金を支払わなかった。

劉氏は2023年から、給料を取り戻すため労働監督機関や行政ホットラインなど、利用できるあらゆる窓口に何度も助けを求めた。しかし、各機関は責任を押し付け合うばかりで、問題は解決せず、権利を守るための道は事実上閉ざされていたという。

未払い賃金を回収する見通しも立たないまま、2025年4月、劉氏は現地の労働局で手製の爆発物を爆発させた。劉氏本人のほか、職員や警察官ら複数人が負傷した。

裁判では、弁護側が長期間にわたる給料未払いなどの事情を挙げて情状酌量を求めたが、裁判所は爆発罪などで懲役6年を言い渡した。劉氏側は判決を不服として控訴しており、現在は二審で審理が続いている。

一方、未払いの賃金は現在も支払われておらず、元請け業者を処分したとの発表も確認していない。

また、この事件を報じた中国のセルフメディアの記事は公開後に削除され、関連する投稿も次々と閲覧できなくなった。

ネット上では、「給料を払わない人が自由の身で、給料を求めた人は刑務所に入る」「爆発は間違っている。だが、誰が彼をここまで追い詰めたのか」など、判決そのものだけでなく、給料未払い問題や行政対応に疑問を投げかける声が広がっている。

一方、海外の中国問題ウォッチャーや人権活動家の間では、今回の実刑判決について、「社会の安定維持」を優先した政治判断だとの指摘も出ている。

中国では景気低迷を背景に建設業などで給料未払いが相次ぎ、賃金の支払いを求める労働者による抗議が各地で続いている。

今回の事件は、爆発事件そのものだけでなく、その背景にある給料未払い問題や行政の対応、さらに関連報道まで削除した一連の対応をめぐっても波紋を広げている。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!