NATO 防衛産業協力を強化 中露朝の脅威に備え軍需生産拡大

2026/07/09
更新: 2026/07/09

NATOのルッテ事務総長は7月7日、トルコの首都アンカラで開かれた「NATOサミット防衛産業フォーラム」で、中国共産党(中共)、ロシア、北朝鮮の脅威に対応するため、防衛産業協力に関する複数の新たな取り組みを発表した。

新たな取り組みには、防衛に不可欠な重要原材料をめぐる協力、「Drone Edge」と呼ばれるドローン計画、ミサイル防衛システムの強化などが含まれる。NATOの兵器生産能力を高め、サプライチェーンの強靱性を強化する狙いがある。

このうち、重要原材料に関する協力には、ベルギー、カナダ、デンマーク、フィンランド、ギリシャ、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、トルコの12加盟国が参加する。

ルッテ氏は基調講演で、ロシアが国家予算のほぼ半分を戦争遂行に投じ、防衛産業だけでなく産業全体を戦争支援に動員していると指摘した。

また、中共については、「軍の近代化を進め、透明性に欠ける形で核戦力を拡大している」と警戒感を示し、「北朝鮮についても、核開発を続ける一方でロシアを支援している」と述べた。

さらに、アメリカの最近の対応によってイランの核計画と弾道ミサイル計画は大きく弱体化したとしつつも、警戒を緩めるべきではないと強調した。

ルッテ氏は「これらの国々は協力を深めている。これはわれわれ全員が懸念すべきことだ」と述べたうえで、「われわれが直面している現実に対応するには、大西洋をまたぐ防衛産業革命が必要だ」と訴えた。

「メイド・イン・NATO」を推進

ルッテ氏は同フォーラムで、NATO加盟国が複数の大型協力計画を発表し、総額数百億ドル規模の契約に署名すると明らかにした。

同氏は、こうした資金はNATOの安全保障への投資であり、経済成長や数十万件規模の雇用創出にもつながると説明した。

「北米と欧州の防衛産業が連携し、次世代の軍事能力を共同で開発する姿を、今日、世界は目にすることになる」と述べた。

ルッテ氏は、こうした能力を「メイド・イン・NATO」と表現した。単独の国ではなく、複数の加盟国が緊密に協力して生み出すものだからだという。

そのうえで、「これこそが同盟を強化し、現在も将来も、10億人の人々とNATO領域のすべてを守る方法である」と強調した。

加盟国と防衛産業の連携を強調

ルッテ氏は演説で、加盟国間の協力と、防衛産業との連携の重要性を繰り返し強調した。

ワールドカップの開催時期に合わせ、同氏はサッカーチームを例に挙げた。勝利を収めるには、得点を決める選手だけでなく、ピッチ上の選手、控え選手、監督、トレーナー、分析担当者、裏方のスタッフなど、全員の役割が欠かせないと説明した。NATOも同じだと述べた。

政治指導者は方針を示し、軍は最前線で任務を遂行する。そして防衛産業は、装備や技術革新、生産能力を提供し、同盟全体を支える重要な役割を担っているとした。

ルッテ氏は「抑止力と防衛力を維持するには、チーム全体の努力が必要だ」と述べ、NATO各国が防衛投資を拡大していることを評価した。

防衛生産体制の強化を加速

ルッテ氏によると、昨年だけでヨーロッパ加盟国とカナダの国防支出は前年から約20%増え、1390億ドル上積みされた。2025年と2026年の増加分を合わせると、追加支出は2580億ドルに達するという。

同氏は「資金はすでに用意されており、今後さらに増える。しかし、その資金は実際の防衛能力につながらなければならない」と述べた。

また、過去1年でNATOの防衛産業基盤を強化するために370億ドルが投じられたと説明した。これにより、工場の拡張、新たな生産ラインの整備、生産能力の増強が進んでいるという。

ルッテ氏は、新たに増えた生産スペースはサッカー場2千面以上に相当すると述べた。さらに、同日午前のフォーラムだけでも多数の新規契約が署名され、複数の大型計画が発表されたと明らかにした。これらの総額は数百億ドル規模に上り、今後も増える見通しだという。

同氏はまた、NATOが来年、年間約400万発の砲弾を生産できる体制を整える見込みだと述べた。これは昨年の生産量のほぼ2倍にあたる。

ルッテ氏は、NATOはもはや平時の小規模な防衛生産体制にとどまるべきではないと指摘した。長期的に生産を続け、迅速に補充し、加盟国が共同で技術革新を進める防衛産業体制を構築する必要があると訴えた。

そのためには、調達手続きや国境を越える規制を簡素化し、政府と企業が生産能力への投資を続ける必要があるとした。また、工場の稼働には安定した電力や燃料、安全なサプライチェーン、そして技術者や技能者などの人材が不可欠だと述べた。

ルッテ氏は最後に、「戦略は明確だが、試合はまだ終わっていない。勝利するには、すべてのメンバーが全力を尽くす必要がある。より多く、より速く、そして共に成し遂げなければならない」と語った。

そして、「われわれに無駄にできる時間はない」と強調した。

李思斉