習近平になお後継者不在 次期党大会控え権力構図に不透明感

2026/07/07
更新: 2026/07/07

中国共産党の習近平総書記が政権を掌握して14年目に入る中、後継者を明確に育成していないことが改めて注目されている。最近では側近の蔡奇・党中央政治局常務委員が一部の重要任務を担っているとみられるが、来年開催予定の中共第21回全国代表大会(21大)を前に、中南海の権力構図には依然として不透明感が残っている。

現在、多くの専門家は、習近平が21大での続投を目指し、一極支配をさらに強化するため、あえて後継者を指名しない方針を取っているとの見方を示している。こうした姿勢は、中共の後継体制そのものを断ち切る「断後」の戦略だとする分析もある。

台湾国防部系シンクタンク「国防安全研究院」の研究員、沈明室氏は大紀元の取材に対し、「理論上、中共指導者の後継候補は、最高指導者が退任する前の党大会の時点で政治局常務委員会入りしているべきだ。しかし現在まで、そのような人物は現れていない」と指摘した。

さらに沈氏は、「もし習近平の健康状態に問題が生じたり、不測の事態で急死した場合、政権運営に極めて大きなリスクをもたらす」と分析した。

また、習近平が後継者を指名するのであれば、55歳以下で政治局常務委員入りできる人物が条件になるとの見方を示した。一方で、現在の中国政治の状況では、上海市、重慶市、北京市の各党委員会書記はいずれも年齢面から将来の後継者候補には適さない可能性が高いという。地方幹部の中で習近平派がどの程度を占め、反習勢力がどれほど存在するのかも依然として不透明だと述べた。

一方、米国在住のベテラン政治評論家、唐靖遠氏は、「習近平が21大での続投を実現する上で最大の危機は後継者問題ではなく、党内の反習勢力による全面的な圧力である」と指摘する。「現在の習近平は自身の権力基盤そのものが深刻な挑戦を受けており、後継者問題にまで手が回らない状況だ」との見方を示した。

唐氏は具体例として、習近平の妻・彭麗媛と近いとされる「山東閥」の代表格、馬興瑞が率いる勢力が調査対象となり、失脚したことを挙げた。また、習近平の最側近とされる「福建閥」の重鎮、陳希も、最近になって中央党校校長の職を失い、最後の要職を退いたという。さらに、蔡奇の腹心とされる北京市政治協商会議主席の魏小東についても当局が調査入りを発表しており、「これらは氷山の一角に過ぎない」と述べた。

習近平が2022年に3期目へ入って以降、中央政治局委員3人が在任中に失脚しており、その規模は1976年以来まれとされる。また、第20回党大会で選出された300人余りの中央委員会メンバーのうち、大まか統計でも約100人が粛清の対象となり、公式に失脚が発表された者や消息不明となった者が含まれる。これらはいずれも習近平自身が登用した幹部だった。

唐氏は「習近平にとって現在最大の課題は、21大で合法的かつ平穏な形で『軟着陸』できるかどうかにある」との見方を示した。

一方、複数のメディアは、蔡奇が21大に向けた人事配置を主導していると報じている。

蔡奇は現在、党中央政治局常務委員、党中央書記処第一書記、党中央国家安全委員会副主席、党中央弁公庁主任を兼任しており、党内序列では第5位ながら、実質的には「ナンバー2」とも評されている。最近では陳希の後任として中央党校校長にも就任し、党幹部へのイデオロギー教育や習近平への忠誠度管理も担当しているとされる。

沈氏は、「蔡奇は習近平から厚い信任を受けているものの、中央の人事配置全体を担当しているかどうかは断定できない」と指摘した。その理由として、党中央組織部長の石泰峰との間で権限の分担が存在するとみられるためだと説明した。また、21大までに選出される省・部級幹部の多くが習近平派でなければ、忠誠度を十分に掌握することは難しいとの見方を示した。

これに対し唐氏は、「蔡奇の兼務が増え続けていること自体が、習近平には頼れる人材がほとんど残っておらず、やむを得ず蔡奇に依存していることを示している」と分析した。

さらに唐氏は、蔡奇が中央党校校長を兼任したことについて、「本来、党務を主管する政治局常務委員が中央党校校長を兼務するのは過去の慣例であり、今回の人事はその慣例に戻っただけだ」と述べた。その一方で、「習近平は政治局委員だった陳希を中央党校校長に任命し、陳希が中央委員を退いた後も一党員の立場で校長職を続けさせた。これは党内の政治ルールを自ら破る行為だった」と批判した。

唐氏はまた、「蔡奇自身の立場も安泰ではない」と指摘し、「近く党中央弁公庁主任という重要ポストを手放す可能性があり、自身の保身にも苦慮している状況で、21大の人事全体を取り仕切る余力はない」と述べた。

さらに、「党・政府の人事を実質的に掌握する中核部門は党中央組織部であり、そのトップである石泰峰は胡錦濤元総書記に近い人物として広く認識されている」との見解を示した。

唐兵