中国で金融リスクが高まるなか、中国共産党(中共)当局はこのほど、武漢衆邦銀行を公的管理下に置く。金融監督当局が民営銀行を管理下に置くのは初めてである。外部からは、同銀行に深刻な信用リスクが生じた背景について分析が出ており、地域的な金融危機につながる恐れも指摘されている。
中共国家金融監督管理総局は7月3日、武漢衆邦銀行に深刻な信用リスクが生じたとして、同日から1年間、同銀行を当局の管理下に置くと発表した。
公式発表によると、武漢衆邦銀行の管理チームは、湖北省地方金融管理局と武漢市政府が主導し、国家金融監督管理総局湖北監管局、中国人民銀行湖北省分行、預金保険基金管理有限責任公司などで構成される。漢口銀行が、武漢衆邦銀行の関連資産、負債、業務、人員を引き受ける。
漢口銀行は、武漢市直属の国有資本系の都市商業銀行である。漢口銀行の発表によると、衆邦銀行の個人預金については、元本と利息を全額保護する。管理下に置かれる前の法人預金および同業負債については、元利金が5千万元以下の場合、全額保護される。5千万元を超える法人預金および同業負債については、個別に登録手続きを行い、そのうち5千万元以下の部分は全額保護される。5千万元を超える部分については、今後の処理方針に基づいて保護されるが、保護の対象外となる部分は、今後の弁済手続きに委ねられる。
2024年末時点で、衆邦銀行の総資産は約1235億元だった。同銀行は「インターネット取引銀行」を掲げ、オンライン融資や融資支援プラットフォームとの連携に大きく依存していた。規模や業務展開の面では、中国本土の民営銀行の中でも上位グループに位置していた。
財経専門家のMike Li氏は大紀元に対し、当局が銀行を公的管理下に置くということは、同銀行がすでに債務超過に陥り、預金者による一斉引き出し、取り付け騒ぎのリスクに直面していることを意味すると述べた。突発的な大規模取り付けが地元の他の銀行に波及し、地域的な金融危機を引き起こすのを避けるため、当局は介入せざるを得なかったという。
同氏は、当局の管理下に置かれるからといって、リスクが消えるわけではないと指摘する。本来は市場で処理されるべき損失が、段階的に政府信用に肩代わりされるだけだという。地方政府の財政余力が低下し続ければ、救済にかかるコストは最終的に公的資源で賄われるとしている。
深刻な信用リスクが生じた背景
武漢衆邦銀行のウェブサイトによると、同銀行は卓尔控股、当代集団など6社が共同で設立した。中共当局の承認を受けて設立された全国11行目の民営銀行であり、湖北省初の民営銀行でもある。2017年5月18日に正式に開業し、当初の登録資本金は20億元だった。その後、2020年1月16日に増資を完了し、登録資本金は40億元となった。
独立アナリストの郭濤氏は、シンガポール紙「聯合早報」に対し、衆邦銀行の深刻な信用リスクは、主に返済が滞った融資の大幅な増加として表れており、融資支援業務のモデルと密接に関係していると述べた。中共が新たな監督規制を実施した後、提携先の融資支援機関や保証会社が打撃を受け、業務規模が制限された。さらに、保証会社が借り手に代わって返済する能力も低下し、リスクが一気に表面化したことで、銀行の不良債権が増えた。これが、同銀行を公的管理下に置く重要な原因だという。
郭氏は、衆邦銀行が管理下に置かれるもう一つの原因として、同銀行の主要株主である民間企業自身が債務問題を抱えていたことを挙げた。これにより、衆邦銀行のガバナンスやリスク対応能力にも影響が及んだという。民営銀行の株主は民間企業が多く、リスクへの耐性が比較的弱いため、連鎖反応を引き起こしやすいと指摘している。
公開報道によると、近年の不動産危機と景気減速を背景に、衆邦銀行の6大株主のうち5社で、債務問題の表面化や株式凍結などの問題が相次いだ。主要な発起株主である卓尔控股の傘下にある複数の上場企業は経営難に陥っている。かつて「民間企業トップ500」に入っていた当代集団は、2024年に破産を申請した。奥山集団は武漢の不動産事業に過度に依存したことで債務危機に陥り、裁判所によって複数回、株式を凍結された。第4位株主の鈺龍集団も、保有株式が司法凍結されている。
資産の質をみると、業務と規模の拡大に伴い、同銀行の不良債権比率も急速に上昇していた。2021年末には不良債権比率が1%を突破し、2023年末には1.73%まで上昇した。
衆邦銀行の2025年の年次財務報告書は、現在も公表されていない。
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