ドローンを駆使した新たな戦争形態への対応が急務となる中、日本の防衛政策は大きな転換点を迎えている。米国の新興防衛企業による国内工場の取得協議や、小泉進次郎防衛大臣が主導する「スピード」を最優先とした調達プロセスなど、官民の動きが速度を上げている。
ロイター通信によると、米新興防衛企業のアンドゥリル・インダストリーズは現在、神奈川県横須賀市にある日産自動車の追浜工場を取得するための協議を進めている。同工場は日産が閉鎖を予定しており、アンドゥリル社には軍事用ドローン、無人機の生産拠点に転換する狙いがあるとされる。
アンドゥリル社は2017年に設立された米国の新興防衛技術企業で、Anduril Japanのプレスリリースよると、AI、ソフトウェア、先端ハードウェアを組み合わせ、空・海・陸・宇宙の各領域で同盟国を守る自律型システムを構築し、テクノロジー産業のスピード感や専門性を国家安全保障の分野にもたらすとしている。2025年12月には日本法人を設立し、現在は軍事用ドローンの生産拠点として日産の工場取得を協議している。
横須賀市は海上自衛隊や米海軍の基地を抱えるだけでなく、小泉防衛大臣の選挙区でもある。小泉大臣は昨年12月にアンドゥリル社の創業者と面会しており「学ぶことが多い」とXに投稿していた。仮に工場取得が実現すれば、戦後の日本経済を牽引してきた自動車工場が防衛装備の工場へと生まれ変わることになり、平和国家を掲げてきた日本の防衛産業にとって象徴的な変化となる。
ドローンの配備に向け、防衛省はスピード感を持って政策を進めている。小泉大臣は先日、三菱重工のドローン生産能力を視察した際の様子をXで紹介した。さらにその後、同プラットフォームで冒頭に「拡散希望」と明記し、「迎撃ドローン」調達事業への入札を公開で呼びかけていた。
これまで低調で非公開というイメージが強かった日本の防衛調達において、大臣自らがSNSを通じて民間から装備の提案を募ることは異例である。
この「迎撃ドローン早期調達計画」は2026年夏に集中的に実施される予定であり、早ければ8月下旬に量産契約を結び、9月には納入を目指す内容だ。
調達プロセス全体を3か月以内で完結させる方針は、小泉大臣が強調する「スピードこそが防衛省の政策推進における最優先事項」という姿勢を具体的に示している。
自衛隊の防衛装備品の調達における主契約企業の1つである三菱重工もドローン開発に着手しており、小泉防衛大臣は自身のXアカウントに、様々な種類のドローンについても説明を受け、日本も年間100万機を超える生産能力を持てると自信を深めたと投稿した。
日経新聞によると、三菱重工の伊藤榮作社長は、同社は飛来する無人機を撃墜するための量産可能な「迎撃ドローン」の試作機開発にすでに成功しており、防衛省の緊急入札にも積極的に提案を行っていると述べた。
従来、日本の防衛ドローン市場はスタートアップ企業が牽引してきたが、三菱重工のような防衛の中核的企業が参入することで、大型装備のシステム統合の知見や、量産規模拡大に向けた経営資源がもたらされる。これにより、従来の戦闘機や艦艇との連携運用も視野に入った、国内におけるドローンの安定的な生産基盤の構築が大きく前進するとみられている。
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