中国人の家族における政治観の世代間差異=米報告書

2026/06/25
更新: 2026/06/25

今月15日、華人策劃協会(CPC)とデータ分析機関「聚力データ情報センター(SiNCG)」は共同報告書『記憶と行動 ニューヨーク市華人コミュニティにおける政治意識の世代間研究』を発表した。

報告書は、ブルックリン区サンセットパーク、マンハッタンのチャイナタウン、クイーンズ区フラッシングの米国3大華人コミュニティを対象に調査を実施。その結果、ニューヨークの華人家庭では「同じ食卓を囲みながら、異なる二つの政治世界を生きている」という現象が広く見られることが明らかになった。

この結論は、華人社会に対する「政治に無関心」という従来の固定観念を覆すものだとしている。

報告書によると、華人有権者は単純に民主党支持と共和党支持に二分されるのではなく、一面的な情報しか目に入らない状況に置かれているという。高齢世代は主に中国のSNS「ウィーチャット(微信)」、中国語の伝統的メディア、親族や友人のネットワークを通じて情報を得る一方、若い世代はインスタグラムやティックトック、レディットなど英語圏のSNSにほぼ依存している。そのため、同じ出来事や事件に対しても世代ごとに異なる認識や物語が形成されているという。

高齢世代 トラウマの記憶と秩序重視

報告書は、多くの第一世代移民が出身地で経験した社会不安や統制、機会不足の記憶を背景に、米国が提供する経済的機会と社会的安定を強く評価していると指摘した。彼らは「個人の責任」と「道徳的秩序」を重視する傾向があり、地域の治安悪化に直面した際には、より厳格な法執行を支持する傾向が強い。また、一部の高齢者は米政府への公然たる批判に慎重で、それは移民として米国に渡った本来の目的に反すると考えているという。

若年世代 社会正義と制度批判

一方、米国生まれの華人や若年層の移民は、「構造的差別」や「人権」といった視点から社会問題を捉える傾向が強い。両親の安全を懸念する点では共通しているものの、暴力事件の原因については銃規制やホームレス問題、精神医療など、より大きな社会・政治課題に求める傾向がある。

報告書は特に、イスラエル・パレスチナ紛争が多くの若者にとって「政治的覚醒の契機」となり、米国の制度や外交政策に対する批判的な見方を強めたと分析している。

移民取締りの問題でも世代間の違いが顕著だ。高齢者は「法を守っていれば恐れる必要はない」と考える一方、若者は「人種的偏見に基づく法執行」の存在を強調する。高齢者が家族の安定を守るため抗議活動への参加を控えるよう未成年者に促すのに対し、若年層は沈黙こそがコミュニティの権利獲得を妨げる要因だと捉えている。

共通する政治不信

しかし、報告書は世代間の意見の違いにもかかわらず、「現職の選挙で選ばれた政治家への不満」という点では両世代が高い一致を示していると指摘した。多くの人々が「納得できない選択肢の中から妥協を強いられている」と感じており、政治家は華人コミュニティの実際の課題よりも票集めを優先しているとみている。

具体的には、小規模家主の権利保護、高インフレ下での生活問題、高齢者介護などが十分に重視されていないとの不満が挙がった。

華人策劃協会のウェイン・ホー(何永康)会長は、「華人家庭は同じ食卓を囲んでいても、米国政治の現状をそれぞれ異なる見方で捉えている。コミュニティに効果的に働きかけるには、歴史的記憶や世代差によって形成された多様な生態を尊重しなければならない。単一のメッセージ、単一の言語、単一のプラットフォームでは十分ではない」と述べた。

報告書について専門家らは、ニューヨークのみならず全米の政治環境に重要な示唆を与えるものだと評価している。各政党や候補者に対し、華人有権者を単一の投票集団として捉えるべきではないことを示しており、華人家庭内部に存在する世代間の溝を無視したまま、単一の政策やスローガンで支持を得ようとしても、真の支持獲得は難しいと指摘している。

陶若水