中国タンカー 初めてホルムズ海峡付近で被弾 中共当局は「中国船」と認めず

2026/05/08
更新: 2026/05/08

中国メディア「財新網」は5月7日、大型石油タンカーが5月4日、ホルムズ海峡の入り口にあるアラブ首長国連邦(UAE)のアル・ジャジール港沖で攻撃を受けたと報じた。船体には「CHINA OWNER&CREW(中国の船主と船員)」と明記されていたという。

報道によると、事情を知る船主は、中国のタンカーが攻撃されたのは初めてだとして、「衝撃は大きい」と語った。

これに対し、中国共産党(中共)外務省の林剣報道官は5月8日の記者会見で、現時点で把握している状況として、攻撃を受けた船はマーシャル諸島船籍で、中国人船員が乗っていたと説明した。これまでのところ、乗組員の死傷者は報告されていないという。

時事評論家の李林一氏は、財新網の報道を踏まえ、この船には少なくとも中国船主・中国人船員を示す表示があったにもかかわらず、イラン軍が攻撃したことになると指摘した。そのうえで、中共当局が事件を目立たせないようにしている可能性があり、実際の状況はさらに確認が必要だとの見方を示した。

また、韓国の海運会社が運航する中型ばら積み貨物船も5月4日に爆発し、火災が発生した。この船は当時、ホルムズ海峡の内側にあたるUAE近海に停泊していた。

アメリカは5月4日、「プロジェクト・フリーダム」作戦を開始し、ホルムズ海峡で足止めされていた商船の退避を支援した。トランプ大統領は作戦開始の翌日に一時停止を表明し、アメリカとイランが戦争終結に向けた合意に達するかどうかを見極めるためだと説明した。

トランプ氏の訪中を控える中、イランのアラグチ外相は5月6日午前に北京を訪れ、王毅外相と会談した。中共側の公式発表によると、双方はホルムズ海峡での船舶の通行再開について協議した。

台湾国防安全研究院戦略資源研究所の蘇紫雲所長は大紀元に対し、攻撃を受けたのが実際に中国関係の船だった場合、レーダーでは船体の表示を確認できなかった可能性がある一方、意図的だった可能性も排除できないと述べた。また、イラン内部の対立が関係している可能性にも言及した。

蘇氏によれば、イラン内部には大きく三つの勢力がある。宗教指導部、選挙で選ばれた政府、そして革命防衛隊だ。イラン政府が外交協議を重視する一方で、革命防衛隊が和平の流れを妨げようとしている可能性もあるという。

政治・軍事評論家の馬克氏は大紀元に対し、中国タンカーが攻撃されたとすれば、理由の一つとして、イラン革命防衛隊の指揮系統が分散していることが考えられると述べた。

馬克氏によると、イランはこれまで、将来的な米軍の攻撃に備え、一部の判断を現場部隊に委ねてきた。戦時に上層部が攻撃を受け、指揮系統が断たれた場合でも、現場部隊が独自に攻撃を判断できるようにするためだ。その結果、各部隊が独自に判断して動く状況になっているという。

また、イランの文民政府とイラン革命防衛隊の間には根本的な対立があると指摘した。中共はイランの重要な同盟相手であり、資金面の後ろ盾でもあるが、革命防衛隊の一部の現場指揮官は、中共を本当の盟友とは見ておらず、むしろイランを裏切ったと考えている可能性もあるという。

中共当局が「中国船が攻撃された」と認めていないことについて、馬克氏は、中共にとって現在最も重要なのは、イランの体制を存続させることだと指摘した。それが中共側の最大の利益であるため、事件を大きく扱わないようにしているとの見方を示した。

イスラエルの「チャンネル12」など複数のメディアによると、ホルムズ海峡に展開していた米軍部隊は5月7日、イランの武装勢力から激しい攻撃を受け、一時撤退を余儀なくされたという。

米中央軍は同日、イランのミサイル発射施設やドローン発射施設などの軍事拠点に報復攻撃を行ったと発表した。米軍は、ホルムズ海峡を通過中の米軍艦艇に対し、イランが一方的に攻撃を仕掛けたため、今回の攻撃はその対応だったと説明している。

米中央軍はXに声明を投稿し、米軍の艦艇3隻に損傷はなかったと明らかにした。そのうえで、事態の拡大は望んでいないが、米軍を守るため、引き続き展開態勢を維持し、必要な行動を取る用意があるとした。

今回の事態が、トランプ政権の提示した「和平覚書」をめぐる協議に与える影響について、蘇氏は、今回の攻撃はあくまで戦術的な一回限りの対応であり、「相手が動かなければ、こちらも動かない」という性格のものだと分析した。

馬克氏は、トランプ氏にはイランへの軍事行動を長期化させる考えはなく、限定的な対応にとどめようとしていると述べた。今回の米軍による報復攻撃は、イランに警告を与えるためのものであり、アメリカが今後さらに大規模な軍事攻撃を行う可能性は高くないとみている。最終的には、トランプ氏は協議による解決を目指すだろうという。

馬克氏はさらに、トランプ氏にとって最も重要なのは中共政権への対処だと指摘した。アメリカは世界全体の情勢を見ながら対応する必要があるためだという。

5月7日夜、トランプ氏は自身のトゥルース・ソーシャルに投稿し、イランは「狂った人々」に率いられた正常な国ではないと批判した。そのうえで、アメリカはイランの核兵器保有を絶対に認めないと強調した。

寧海鐘
中国語大紀元の記者。
駱亜
中国語大紀元の記者、編集者。