イランに対する米国の軍事行動が目指す核心的目標は、イラン政府に核兵器開発計画を完全に放棄させることにある。
現時点で米政府の戦略的重点は精密打撃と海上封鎖に置かれており、政権交代は追求していない。しかし交渉の膠着が続く中、紛争が全面的に制御不能に陥るリスクは依然として残っている。
5月3日、トランプ米大統領はワシントンでイランが提示した最新の停戦協定草案を拒否した。
「14項目案」と呼ばれるこの案は複数の段階で構成されており、双方の停戦とホルムズ海峡封鎖の30日以内解除、そしてイランがウラン濃縮活動を最長15年間凍結し、その後に核問題交渉を再開するという内容が含まれていた。
トランプ大統領はメディアに対し「私には受け入れられない。すべて検討したが、受け入れられない」と述べた。それ以前にも同大統領はこの案を拒否する可能性を示唆しており、イランはまだ「十分な代償」を払っていないと率直に語っていた。
同日、イランの情報機関は国営テレビを通じて声明を発表し、米国が海峡の航行に干渉すれば停戦破棄とみなすと警告した。イランの情報機関は、トランプは「遂行不可能な作戦」か「イラン・イスラム共和国との不利な協定」かの二択を迫られると表明した。この声明では中国(中共)、ロシア、欧州の米政府に対する姿勢に「変化」が生じているとも指摘し、米国の海上封鎖に対するいわゆる「最後通牒」に言及した。
4月8日に発効した双方の停戦合意は脆弱な緩衝窓口にすぎず、イラン政権の安全が保証されたわけではない。現状を見れば、米イラン両国が真に交渉のテーブルにつく条件はほど遠く、膠着状態が続けば事態はさらに予測不能な方向へ進みかねない。
5月5日に公表された米国の情報評価によると、イランは依然として核物質のすべてを米軍の通常兵器ではイスファハンの地下構造物など貫通困難な深層地下施設に保管しているとされる。
莫大な費用をかけて建設されたこれらの地下防衛施設の目的は核兵器の開発にある。これらの施設が機能し続けている事実は、イランが核兵器開発能力を依然として保持していることを意味する。
米政府が外交ルートの閉塞を理由にイランの核問題を棚上げしたり、この問題で何らかの譲歩をしたりすることはあり得ない。
そうなれば、イランの非核化目標が達成されるまで、米国は軍事行動の範囲・強度・規模を拡大し続ける公算が極めて高い。ただし、この目標の実現にはイランの現政権崩壊が伴う可能性があるものの、少なくとも現段階では、政権交代は米軍作戦の目標には含まれていない。
紛争勃発以来、米軍の行動範囲は政治・軍事の上層部に対する選択的な定点排除、および核施設・兵器・弾薬庫・軍事関連施設への精密打撃に限定されてきた。イラン政権が存続しているのは米軍がいかんともしがたいからではなく、米政府がまだ政権終結の段階に行動を引き上げていないからだ。
米国はイラン政権を終結させるために必要な打撃力をすべて解放してもいなければ、政権の早期崩壊につながる計画を実行してもいない。現段階における行動目標は依然として、イランに核兵器開発計画を完全に放棄させることにある。
5月1日、イランのバガエイ外務省報道官は、短期間での合意成立に期待するのは非現実的だと述べた。この姿勢はイラン政府の意思決定層が依然として妥協を拒んでいることを示している。
彼らはトランプ政権が既定の目標を達成する能力と決意を明らかに見誤っている。イランは自らを交渉力を持つ対等な相手とみなし「双方による海峡開放」と「15年間の核兵器開発停止」という一見折衷的な条件を提示したが、これはトランプ政権がイランに求める「核兵器の永久放棄」という目標とはほど遠い。トランプがイランはまだ「十分な代償」を払っていないと率直に語るのも当然だろう。
イランの現政権は、貴重な存続の窓口をより危険なゲームへと変えつつある。このゲームが終わる結果は二つしかない。一つは、イランが米国の要求に従って核兵器開発を永久に放棄し、長期的な平和的発展の余地を得ること。もう一つは、現政権が行っているように、引き延ばし・隠蔽・対抗といあらゆる手段で核兵器開発の放棄を拒み続け、最終的に政権崩壊を招くことである。
西側諸国および中東の大部分の国は、イランの現政権が核兵器を保有することを容認しない。歴史が証明するように、これは国際社会から全く信頼されていない政権であり、イランの大規模地下施設の建設は、核戦争をも辞さないという狂気の構想を内包している。この政権が核兵器を手にすれば、核不拡散条約(NPT)の崩壊を直接招くだけでなく、イスラエル・中東、さらには西側諸国が即座に核攻撃のリスクに直面し、世界全体が核危機に陥る。これは米政府が譲れない一線である。
トランプ政権がなぜこれほどまでに「イランの核兵器開発を消し去る」ことに固執するのか、この事実はその理由を理解する助けとなろう。
したがって、イランが核兵器開発を実質的かつ永続的に放棄しない限り、米国の攻撃は激化し続ける可能性があり、イランが米国の設定した核交渉の最低ラインに立ち戻るか、あるいは完全な政権転覆という展望に直面するかのいずれかとなる。現在の情勢の推移を見れば、後者の可能性が急速に高まっている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。