昼間は静かなはずの中国SNSが、夜になると突然変わる。
中国版TikTok「抖音(ドウイン)」で最近、深夜になると、若者たちが隠語や風刺を使い、共産党や習近平政権への不満を次々と投稿する「深夜の造反」と呼ばれる現象が起きている。
昼間ならすぐ削除される内容が、夜中だけ一時的に広がり、しばらくすると消える。この奇妙な動きが海外SNSでも話題になっている。
投稿内容は、一見すると普通の画像や冗談にしか見えず、なぜ問題になるのか分からないものも多い。だが、中国事情をよく知る人には、「誰を指しているのか」「何を意味しているのか」がすぐ伝わるのだという。
たとえば、「豚の画像」。中国ネットでは以前から、習近平を「豚頭」と呼ぶ風刺表現が使われてきた。また、中国皇帝のような服装も、権力集中を進め「一尊(いっそん)」と呼ばれる彼を連想させる隠語として使われている。
最近も、豚の頭のぬいぐるみに中国皇帝風の服を着せ、弓矢で撃ち抜く動画が中国SNSで拡散し、大きな話題になった。動画では、矢が命中すると豚の頭が落下する様子も映っていた。動画はすぐ削除され、投稿者のアカウントも停止されたが、本当に注目を集めたのはコメント欄の異様な盛り上がりだった。
動画には一時、数千件のコメントや転送が集まり、「よくやった」「民の害を取り除いた」「倒せ」「撃ち倒せ」といった声が殺到。さらに「仲間を集めよう」と、反乱を連想させる書き込みまで現れた。
ユーザーからは、「これで皆、弓で撃たれているのが誰か分かった」「削除されたということは、プラットフォーム側まで、『皇帝の服を着た豚』が誰を意味しているのか理解している証拠だ」といった皮肉交じりの声も相次いだ。
中国では政治批判そのものを厳しく制限している。その中で、こうした動画に大量の共感コメントが集まったことは、単なる悪ふざけではなく、社会にたまった不満や怒りがSNS上で噴き出している現象として注目されている。
ほかにも、戦車を連想させる映像や、香港の民主化運動に関連する歌、歴史を暗示する言葉遊びなども投稿されている。いずれも中国では敏感なテーマで、通常はすぐ削除される内容だ。
背景にあるのは、中国独特の厳しいネット検閲である。監視はAIと大量の担当者によって行っているが、深夜は監視がやや手薄になる、その時間帯を狙って、検閲に引っかかる寸前の風刺投稿が相次いでいる。
直接言葉にできないため、人々は画像や詩、冗談、歴史ネタを使い、遠回しに気持ちを表現する。消されてても消されても現れる「深夜の反乱」は、抑え込まれた不満が今も中国社会の中でくすぶり続けている現実を映し出している。
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