中国のネット上の発信が一斉に削られている。
中国当局は5月、セルフメディアのアカウント約9万8千件を処分したと発表した。理由は、「政策に関する投稿で情報源を書いていないこと」や、「AI作成である表示がなかったこと」などだ。
ニュース解説や政策説明だけでなく、農業、教育、年金など身近な話題や、生活の苦しさを伝える内容を扱うアカウントまで対象となった。
本紙が取材した複数のセルフメディア運営者(アカウント停止を受けた)の話をまとめると、アカウント停止の波はメーデー(中国版GW)前後から突然始まったという。問題視されたアカウントでは、住宅価格の下落や配達員の厳しい労働環境、生活苦を訴える内容などが発信されていた。「いまは庶民の苦しい現実を伝える投稿までできなくなった」という。
中国ではこれまでも、「デマ対策」や「ネット秩序の維持」を掲げた取り締まり、「大V」と呼ぶ影響力の大きい発信者への規制など、さまざまな名目でネット統制を強化してきた。
今回の「情報源不明」や「AI表示」も、実際には当局と一致しない発信を削除するための口実として使っているとの見方が出ている。
約10万件のアカウント削除の裏で、中国社会には新たな空気が広がっている。「何が正しいか」ではなく、「何なら消されないか」を先に考える空気だ。
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