またこの光景か。中国では大型連休のたびに、同じような場面を繰り返している。人気観光地に人が押し寄せ、宿が取れず、気づけばトイレや店内で一夜を明かす人があふれる。今回も例外ではなかった。
今回、その混乱が起きたのが、山東省の名山・泰山だ。中国でも特に有名な山の一つで、古くから皇帝が祈りを捧げた聖地として知られる。「安如泰山(あんにょたいざん)」や「穏如泰山(おんじょたいざん)」といった四字熟語にも登場し、「どっしりとして動じない」「揺るがない存在」を表す言葉として使われてきた。
大型連休に合わせて多くの観光客が夜登山に挑んだが、5月2日未明から雨と強風に見舞われ、状況は一変した。
山の上には雨をしのげる場所がほとんどなく、人が一気に押し寄せた結果、トイレや洗面所が「避難場所」と化した。床に座り込む人や横になって眠る人であふれ、足の踏み場もない状態だったという。トイレを使うにも30分以上待つ混雑で、足の置き場を探しながら歩くしかなく、気を抜けばすぐに誰かの頭を踏んでしまいそうな、異様な光景だった。
多くの観光客は日の出を見るために登っていたが、雨はやまず、結局ほとんどが日の出を見ることはできなかった。途中であきらめて下山する人も相次いだ。
山頂周辺では、飲食店やホテルのロビーも満員となり、簡易的な休憩場所として利用された。店内のテーブルでうつ伏せに寝る人や、時間をつぶす人であふれ、料金は店ごとに異なるが、数時間の滞在で60元(約1300円)前後、ロビーで床に寝る場合は100元(約2200円)ほどが相場だった。
現地の店側も対応に追われ、店内やロビーには休憩する人があふれた。料金は店ごとに異なり、時間帯によって変動するなど統一されておらず、その場しのぎの対応が続いていた。明らかに受け入れ能力を超えた状態だった。
こうした状況は今回に限った話ではない。過去にも各地の観光地で同様の現象が繰り返されてきた。受け入れ能力を明らかに超えているにもかかわらず観光客を入れ続ける運営は、以前から指摘されてきた問題だ。毎年のように混乱が起きているが、抜本的な改善は進んでいない。

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