イランは仲介国であるパキスタンを通じ、アメリカに最新の交渉案を提出した。これを受け、国際原油価格は小幅に下落した。ただ、ホルムズ海峡の封鎖は依然として世界のエネルギー市場を不安定化させている。アメリカはイラン産原油の輸出阻止を続けており、イラン軍は、米軍が再び攻撃すれば強力に反撃すると警告している。
また、アメリカは同盟国に対し、新たな「海上自由構想」への参加を呼びかけている。しかし、フランスやイギリスなどは、戦争が正式に終結した後でなければ、ホルムズ海峡の通航再開支援には加わらないとの立場を示している。
ホルムズ海峡の封鎖と紅海情勢の緊張を受け、アフリカ南端を回る喜望峰ルートが、世界のコンテナ輸送で重要性を増している。IMFなどが運営する海上貿易監視プラットフォームPortWatchのデータによると、南アフリカの喜望峰を経由する商船の通航量は、過去3年で3倍以上に増加した。これにより、アジアとヨーロッパを結ぶ航路の輸送日数は平均で2週間ほど延びている。一方、バブ・エル・マンデブ海峡を通過する船舶の通航量は半分以下に減少した。
サウジアラビアのジッダ港も、域内の新たな積み替え拠点となっている。貨物の荷揚げ待ち時間は倍増し、36時間に達しているという。一部の貨物は、ホルムズ海峡を通らないオマーンやアラブ首長国連邦の港を経由しているほか、ヨルダンやトルコを経由する陸上ルートを使い、トラックで湾岸諸国へ運ばれている。
世界の船舶が紅海を避ける動きは、2023年末にイエメンのフーシ派が商船への攻撃を始めた時点ですでに広がっていた。そこにホルムズ海峡の封鎖が加わり、世界的な迂回航路へのシフトがさらに進んでいる。
米国務省は1日、新たな制裁を発表し、イラン産原油の中国向け取引への圧力を強めた。制裁対象には中国の「青島海業油碼頭有限公司」も含まれる。米側は、同社が制裁を回避する手法を用い、違法な船舶間移送によって、制裁対象となっているイラン産原油を数千万バレル受け入れ、イランに数十億ドル規模の資金をもたらしたと指摘している。
同時に、米財務省はイランの両替所3社と関連する個人・企業にも制裁を科した。これらの機関について、イランが石油収入を運用可能な資金に換えるための重要な仲介役となり、毎年数十億ドル規模の資金を処理していると説明している。
米政府は、今回の制裁について、イランによるテロ組織への資金提供や兵器開発を阻止するための措置だとしている。
戦争とアメリカによる封じ込めは、イラン経済の困難を一段と深めている。政府は表向きには安定した政権運営を維持しているものの、市民生活と企業活動への打撃は拡大している。物価高、供給網の混乱、通信規制が企業活動を直撃し、雇用への圧力も強まっている。ロイターによると、イラン当局者は、制裁が解除されず経済がさらに悪化すれば、新たな抗議活動につながる可能性があると懸念している。
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