米中首脳会談が数週間後に迫る中、この期間、米中双方は複数の分野で交渉カードを積み増している。中国共産党のレアアースカードは次第に効果が薄れており、トランプ氏は地政学的な面で譲歩しないとの見方が出ている。
5月に予定されている米中首脳会談において、双方にはそれぞれの思惑がある。習近平はトランプ氏を中国に招待しており、一方では関税戦争、技術戦争、金融およびサプライチェーンにおけるデカップリングの圧力に直面していること、もう一方ではトランプ氏の対台湾政策に影響を与えようとしている可能性がある。
これに対しトランプ氏は、「目に見える経済成果」を得ることを望み、フェンタニルやレアアース問題でさらに圧力をかけ、さらにはロシア・ウクライナ戦争やイラン問題において習近平の協力を取り付けようとしているとみられる。
では会談前に、双方はどのような交渉カードを持っているのであろうか。
台湾「国防安全研究院」の研究員 沈明室氏
「中共のカードは従来通りレアアース、あるいはフェンタニル規制の若干の緩和といったものに見える。また、中共はすでに大豆やボーイング機の購入を約束しているため、それを交渉カードとは言いにくい。米国側のカードとしては、第一にホルムズ海峡封鎖による中共のエネルギー輸入への大きな影響、第二に対台湾武器売却がある。また中国経済の深刻な減速により、関税や経済・貿易制裁は中共にとって大きな圧力となり、これも交渉カードとなるというのが現況である」
最近の動向を見ると、双方は密かにカードを積み増している。
例えば米国は、イランの「影の船団」によるインド太平洋への密輸石油を取り締まり強化し、さらに商務省は中国の半導体メーカー「華虹半導体」への供給を禁止し、中国による7ナノメートル製造技術の発展を阻止している。
また法制面では、4月初旬に米下院で新たな法案が提起され、オランダや日本による中国向け半導体装置の輸出規制を強化する方向が示された。29日には上院議員2人が超党派の法案を提出し、中共などの敵対国で製造された自動車や部品の米国市場への流入を禁止する構想を打ち出した。
一方、中共側では、北京当局が27日に米メタによる20億ドル規模のAIスタートアップ「マナス」の買収を阻止し、さらに「外国の不当な域外管轄に対抗する条例」を施行して、外国企業のサプライチェーンの移転を防ぐとともに、米国の対中輸出規制に協力する企業を制裁する姿勢を示した。
米メディアの中には、中共が依然レアアースというカードを握っていると見る向きもあるが、専門家の間ではその効果はすでに低下傾向にあると見ている。
台湾大学政治学系副教授 陳世民氏
「ベッセント財務長官は昨年7〜8月頃、米国が中共のレアアース供給への依存を解消するには約1年半必要だと述べていた。それからすでに1年近くが経過しており、昨年4月に中共がこのカードを使い始めた当初は米国にかなりの懸念を与えたが、1年が経過した現在その効果は明らかに低下し始めていると考える」
沈明室氏
「レアアースは『希少』と呼ばれるが、実際には多数の国に存在する。問題は採掘方法や環境を犠牲にして精製するかどうかにある。もし環境負担を受け入れて利益を追求する国が現れれば、すぐに中共の代替となるであろう。そうなれば中共のレアアース市場は縮小し、産業自体にも影響が出る。このため、私はレアアースカードが切り札だとは思わない」
分析では、中共は交渉カードを増やして米国から譲歩を引き出そうとするものの、トランプ氏は地政学的分野では譲歩しないと見られている。
陳世民氏
「ベネズエラやイラン問題での軍事行動を経て、トランプ氏は中南米や中東において米国が優位にあると認識しているはずで、中共と交渉する必要性は低いと考えているであろう。もちろんトランプ氏は中共に対し、イランやロシアへの水面下での支援をやめるよう求めるであろうが、それ以外の問題、特に台湾問題などで、中共がトランプ氏を説得できるほどのカードを持っているとは思えない」
沈明室氏
「中共の交渉カードはますます手札が少なくなっている。国力の低下や軍高官の粛清、軍事発展の停滞、内部の混乱、さらには中共の技術が誇張であり米国に大きく遅れていることが次々と明らかになっているため、会談や交渉におけるカードは今後さらに少なくなるであろう」
台湾国防部系シンクタンク「国防安全研究院」の沈明室研究員は、トランプ氏の国家安全戦略の観点から見ても、重要目標の一つは中共への対抗であり、中共がカードを使って米国から重要問題で譲歩を引き出そうとしても、その効果は限定的であると指摘している。
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