台湾最大野党トップの訪中団 費用約2千万円 公金支出で物議

2026/04/18
更新: 2026/04/18

台湾メディアの報道によると、台湾の最大野党・国民党の主席・鄭麗文氏が率いた訪中団の費用が、台湾外交部の出資で設立された財団法人「台湾民主基金会」に申請されていたことが分かった。

専門家はこのことについて「民主を推進するための資源が、権威主義に歩み寄る行程に使われることを容認できるのか」と強く批判し、極めて不合理だと指摘している。

台湾紙『鏡報』によれば、鄭氏の訪中団は計35人で、6日間の日程にかかる航空券、宿泊、食事、雑費など総額約480万台湾元(約2250万円)は自己負担ではなく、外交部出資の台湾民主基金会に申請されたものだった。

事実上、この訪中は国庫負担で実施されたかたちとなり、航空券費用305万台湾元のうち20人がビジネスクラスを利用していたという。

さらに同基金会は、2022年に当時のペロシ米下院議長の訪台を受け、中共側から「台湾独立勢力を支援している」として重点制裁対象に指定されていた経緯もある。

中共の国務院台湾事務弁公室の馬暁光報道官は以前、同基金会について「民主の名を借りて国際的に台湾独立活動を行い、中国を中傷している」と批判し、中共側が制裁措置を講じると表明していた。

具体的には、中国の組織・企業・個人との協力を禁止し、資金提供やサービス提供に関与する主体も処罰対象とするとしていた。こうした中で、習近平が同基金会の資金で賄われた訪中団と面会したことは、中共側の方針との整合性にも疑問が投げかけられている。

台湾民主基金会は16日午前、「国民党の訪中交流団」の計画書には、同党が中台間の安定した交流の橋渡し役を担い、現地視察や活動参加を通じて台湾企業や在留台湾人に有利な環境を整えるとともに、中共側に台湾の民主的な発展の現状を伝えると記されていると説明した。

また、台湾の民主と自由の理念を中国に広げ、中台関係の平和的発展と台湾海峡の安定・繁栄を促進する目的だとしている。申請は関連規定に基づき処理されたとしている。

インド太平洋戦略シンクタンクの矢板明夫CEOはフェイスブックで、「民主基金会は本来、自由の価値を広め、世界の民主陣営と連携し、権威主義の拡張に対抗するための組織だ」と指摘。その上で「現在起きているのは、民主を推し進めるための公金が独裁体制との接触を目的とする政治行程に使われているという極めて不条理な現実だ」と批判した。

また、「これは単なる交流ではなく、価値の重大な錯誤だ」とし、その背景として国民党が立法院で多数を握り、基金会の董事長を務める韓国瑜氏が同党に近い立場であることを挙げた。

さらに、卓栄泰行政院長が日本を訪問し、民主主義の連携強化を図った際には自費での訪問であったにもかかわらず、「民主のために尽力する者が自費、権威主義と接触する側が公費というのは、制度が本来の目的から逸脱している」と述べた。

矢板氏は「手続き上は合法であっても、合理的とは限らない」とし、中共が台湾の民主制度を脅威と見なし関連機関を制裁している中で、その資金を用いて政治的接触を行うのは「深刻な価値の混乱だ」と批判した。

「民主推進の資源が権威主義に迎合する行程に使われることを許せば、将来どのような一線も正当化されかねない」と警鐘を鳴らした。

行政院の李慧芝報道官は16日の記者会見で、「台湾民主基金会は長年、民主や人権、国際交流を推進してきた組織であり、中国から制裁対象とされている。そのような中で、国民党が同基金会の資金を申請し、中国で習近平氏と会談するというのは驚きを禁じ得ない」と述べ、資金の使途が本来の目的に合致しているか疑問視した。

さらに李氏は、「今回の訪問で民主や人権について議論されたのか」と疑問を呈し、「自分が聞く限り、民主ではなく中共の『第15次五カ年計画』の話題が中心だった」と語った。

また、訪問後は国防強化計画を遅らせるべきではなく、速やかに軍事調達特別条例を可決すべきだと訴えた。

台湾民主基金会は同日午後、当該案件はまだ精算段階に入っておらず、今後提出される領収書や成果報告に基づき、規定に従って処理すると説明。規約では統一・独立に関わる活動への助成は禁止されているとしており、今回の案件については理事会で議論される見通しだ。

同基金会の董事で立法委員の范雲氏は17日、「中共が同基金会を『台湾独立組織』と認定している中で、国民党がそこに資金を申請しながら訪中先で反独立を掲げるのは極めて皮肉だ」と批判。「これは統一・独立問題に関わるものであり、税金を用いるべきではない」と述べた。

さらに范氏は、鄭麗文氏が訪中時に習近平と握手し、「一つの中国」原則や反台湾独立に言及した点に触れ、「統一か、独立かの問題に関与していることは明らかだ」と指摘。韓国瑜氏に対し、精算審査を厳格に行うよう求めるとともに、自身も引き続き監視していく姿勢を示した。

鍾元