衆議院本会議で4月2日、内閣提出の「国家情報会議設置法案」に関する趣旨説明と質疑が行われた。複雑化する国際情勢を背景に政府のインテリジェンス(情報収集・分析)機能を強化する狙い。野党からは監視強化や情報の政治利用への懸念が示された。
法案は、首相を議長とする閣僚級の「国家情報会議」を内閣に設置し、政府全体の情報活動の基本方針を定め、内閣官房に実務を担う「国家情報局」を新設し、省庁間の情報集約と総合調整を行うことを柱とする。高市首相は「危機を未然に防ぎ、国民の安全や国益を戦略的に守るためにはインテリジェンス機能の強化が不可欠だ」と述べ、法案の意義を強調した。
質疑では、新組織の権限を巡る懸念が相次いだ。中道改革連合の五藤優一議員は、通信傍受の拡大や個人情報収集の強化につながる可能性を指摘し、一般市民への監視強化に懸念を示した。国民民主党の橋本議員も、過去に廃案となったスパイ防止法案に言及し、国会による民主的統制の必要性を訴えた。
これに対し政府は、本法案は行政機関相互の関係を定めるものであり、新たな情報収集権限を付与するものではないと説明した。高市首相は、外国勢力によるものではない国内の市民団体などの活動は調査対象にならないとした。
また、都合の良い情報のみが政策に利用される「情報の政治化」の懸念について問われると、首相は「進めたい政策ありきで客観性を欠いた情報収集が行われてはならない」と述べた上で、国家安全保障局などの政策部門と国家情報局などの情報部門の役割を明確に分離し、相互の過度な干渉を避けることで情報の客観性を担保すると説明した。
一方、日本維新の会の浦野靖人議員や参政党の吉川りな議員は法案に賛意を示しつつ、さらなる機能強化を求めた。対外情報庁の創設やスパイ防止法、情報活動基本法、ロビー活動公開法などの整備について問われたのに対し、高市首相は「短期間で結論を得られる課題ばかりではない」としながらも、与党と連携し立法措置の必要性を含めて検討を進める考えを示した。
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