きょう2月17日は、旧暦の新年元日である。日本ではあまり意識されないが、中国や台湾、香港、アジア各地では一年で最も大切な祝日だ。
昨夜の「除夕(大晦日)」から新年が始まり、家族で年越しの食卓を囲むのが伝統である。
日本に住む中国人の間でも、この時期は新年一色だ。横浜中華街や東京・池袋など中国人が多く暮らすエリアでは、旧正月に家族で囲む特別な食事の予約が相次ぎ、中華料理店はかき入れ時を迎えている。
旧正月の食卓には、縁起を担いだ料理が並ぶ。たとえば餃子は、昔のお金の形に似ていることから「財運アップ」の象徴。魚料理は「年々有余」という言葉にかけたものだ。中国語で「魚」は「余(る)」と同じ発音で、「毎年ゆとりがある」「毎年豊かさが余る」という意味になる。だから旧正月の食卓には必ず魚を並べる。しかも、あえて少し残して「余り」を演出する家庭もあるほどだ。
家族で食卓を囲み、こうした料理を並べ、「家族円満」や「豊かさが続く」ことを祈る。遠くに住む家族もできる限り帰省し、一年で最も大切な食事をともにする時間となる。
香港の旺角(下町の繁華街)では、旧正月前になると花市場に人が押し寄せる。蘭は花持ちがよく「繁栄が長く続く」象徴。桃の花は春を告げ、「運気を呼び込む花」として人気だ。赤やピンクは幸福と金運の色。花を買うこと自体が、新しい一年への願掛けなのである。

台湾では賴清德総統が軍事拠点から新年メッセージを発表し、国の安全と暮らしの安定を強調した。新しい年への決意を語る姿に、未来への願いがにじむ。

一方、中国本土では今年の年越し番組をめぐり、演出の中断やCMの多さが話題になるなど、どこか落ち着かない空気もあった。それでも元日の朝になると、昔からの風習は変わらない。
子どもたちは早起きをし、「新年好(あけましておめでとう)」と年上の家族にあいさつをする。これを「拝年」と呼ぶ。ひざまずいて礼をする地域もあり、そのあと赤い封筒に入ったお年玉「紅包」を受け取る。さらに親戚の家を順番に回って新年のあいさつを交わすのが習わしだ。
日本の「初詣」や「年始回り」にも似ている。家族や親戚が顔を合わせること自体に大きな意味がある。どんな時代でも、この朝のやり取りだけは変わらない。
旧正月は、単なる連休ではない。家族が集まり、過去一年の無事に感謝し、そして「今年こそ」と静かに願いを込める時間だ。
もしこの文章を読んでいるあなたが、日本で静かな2月の朝を迎えているとしても、きょうはもう一つの元日である。
提灯の光、湯気の立つ餃子、花市場の香り。
どこか遠い国の話のようでいて、同じ空の下で始まる新しい一年だ。
どうかこの午年が、あなたにとっても力強く前へ進む一年になるように。
きょうからまた、新しいスタートである。
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