中国共産党(中共)中央軍事委員会副主席の張又俠と、同委員会連合参謀部参謀長の劉振立が1月24日、「重大な規律・法律違反の疑い」で立件調査を受けたと、中共国防部が公式に発表した。元中共幹部が入手した内部情報によると、張又俠が拘束された後、習近平は張の旧部下が部隊を率いて北京に進軍し反発する事態を強く警戒しており、状況次第では大規模な離反や混乱が発生する可能性もあるという。
元内モンゴル自治区の党関係者で、現在は海外で活動する杜文氏は、自身の番組で「中央軍事委員会の副主席2人と参謀長が同時に失脚する事態は、単なる粛清ではない。党と軍の内部で嵐が起きている。クーデターだ」と指摘した。
杜氏は体制内部からの情報として、中共軍は政権樹立以来最も緊張した局面にある」と指摘した。軍内部でナンバー2とされてきた張又俠は、これまでに数千人規模の将官を登用した。その張が拘束されたことで、軍内部では大規模な離反がいつ起きてもおかしくない状況だという。
さらに、「習近平は部隊が北京に進軍することを非常に恐れている」と明かし、「各部隊に対し、現地待機を命じ、いかなる部隊移動も認めていない」と述べた。
また、現在は各部隊が最高度の警戒態勢に入り、全員が持ち場に復帰し、携帯電話などによる外部との連絡もすべて遮断されていると伝えた。
杜氏は今回の事態について、「中共軍における構造的な断裂を示すものであり、習近平が軍組織全体をもはや信用していないことの表れだ」と分析した。
中国民主化活動家である王丹氏も、張又俠が習近平の幼なじみであった点に注目し、「これは『忠誠心の選別』の段階を越え、『誰も信用できない』段階に入ったことを示している」と指摘した。
王氏は、現在の状況を「スターリンの晩年のような、完全な不信状態」と表現し、「身内を粛清することで、体制内の不確実性は急激に高まり、誰もが身の安全を懸念する状況になっている」と述べた。
習近平は2012年の政権発足以降、100人以上の軍高官を粛清し、中央軍事委員会副主席もすでに4人が失脚している。現行の軍事委員会で残っている主要メンバーは、張升民のみとされる。
その規模と徹底ぶりは、文化大革命期や旧ソ連の大粛清を上回るとの見方も出ている。
中国のネット上では、習近平を明の末期の皇帝・崇禎帝になぞらえ、「軍に将がいず、身辺に裏切り者がいる。四面楚歌だ」といった書き込みも見られる。
評論家の間では、「張又俠の粛清は、習近平の孤立を覆い隠すものではない」との見方が強い。
評論家の間では、習近平が権力を一手に握っているように見えても、それは党内に異なる勢力が存在しないことを意味するわけではなく、政治的リスクを避けるため表立った動きを控えているにすぎないとの見方が出ている。情勢が今後さらに加速すれば、中共の政局は予測不能な方向に進み、不安定さを増すと指摘されている。
時事評論家の蔡慎坤氏は、習近平はいま、軍に大規模な権限や作戦行動を与えることを極度に警戒していると述べ、実権を渡せば、忠誠が保証されず、反習勢力が一斉に動く恐れがあると考えていると分析した。
張又俠と劉振立の失脚は、国際社会でも大きな反響を呼んでいる。ロイター、AP通信、AFP、BBCなどの主要メディアが一斉に報じ、「前例のない衝撃」「軍内部の大規模粛清が未知の段階に入った」といった表現を用いた。
ブルームバーグは、「両氏の失脚により、中国の最高軍事意思決定層は事実上2人しか残っていない」と指摘。
AP通信も、「これは習近平政権下で最大規模かつ最高位に及ぶ軍粛清であり、反腐敗そのもの以上に、側近にまで手を伸ばした点が衝撃的だ」と伝えている。
海外の専門家の間では、今回の事態は「林彪事件」や「王立軍事件」に匹敵する可能性があるとの見方も出ている。いずれも予測不能な突発事件として、中国の政治情勢を大きく揺るがしてきた前例であり、今回も同様に、中国の権力構造は不安定化すると指摘している。
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